ネットに潜む受難 〜タンバリン星国の少年と地球の少女〜
”〜父親は娘のためならストーカーやマフィアにだって平気でなる〜”
実際に会うことが確定したHN”アルタイル”ことカロンと、HN”アカネ”ことみちるちゃん。
ふたりとも土曜日の準備のことで忙しい様子です…。
「服は…この少し薄手のジャケットを上に着ればいいかな…。
んで、ズボンは上着との色合わせのために黒に…。 うわーっ!もうわけわからないよぅ!!」
「…?どーしたのカロン?そんなに部屋の中に洋服ぶちまけちゃってー。」
カロンは、”アカネさん”と合う時の服の組み合わせを考えている模様。
しかし、あまりそういう事をしたことのないカロンにとってはなかなか難しいようです。
「あ…あぁあ、お姉ちゃん。…いや〜、ぼくも少しはおしゃれしたいなー…って(本当のことは言えないしなー…)。」
「ふぅん…。カロンが?珍しいね。…でも早く寝なよ?明日は休みだからって夜更かししちゃダメよ。」
「う、うん!もう寝るよ!あ…、そうだ、お姉ちゃん。 この…『白の薄手のジャケットと、黒のズボン』、取り合わせ的にどう思う?」
「え!? わ、わたしに聞かれても…。 ま、まぁいいんじゃない?カッコイイよ、カロン。」
「そ、そう?ありがとうお姉ちゃん。…?どしたのお姉ちゃん?その…『指先の怪我』は。」
「!!!え?え?ど、どどど…どこのけがですって!?」
カロンがミラに”指の怪我”を指摘したところ、ミラは何かにあわててしまいました。
カロンは不思議がってミラにもう一度問います。
「ねぇ〜?なんなの、その怪我…。あ、それに…その『ポケットからはみ出てるリボンみたいなの』はなんなの?」
「!!!…も、もう遅いから早く寝るの! おやすみなさいっ!!」
そういうと、ミラはカロンの部屋の電気を消し、素早く自分の部屋へと行ってしまったのでした。
「なんだ…? そういえば最近お姉ちゃん、ぼくを部屋の中に入れてくれないけど…。
何か変なことやってるのかな?…ま、いっか。 …おやすみなさい…。」
一つの疑念を胸に抱きながら、カロンはベッドに入って眠りについたのでした。
そしてこちらは同時刻のみちるちゃんの家。こちらはすでに着て行く服を決め終わったようです。
「…よっし!これでいい…よねっ。さ」
「おーい、みちるー。入るよ〜。」
と、みちるちゃんが服のチェックを済ました瞬間、誰かが部屋に入ってきました。
それは、みちるちゃんの父親だったようです。
「うわ、うわわわ…お、おお…お父さんッ!!」
「な、何だ何だパパが入ってきただけでそんなに驚くだなんて…。パパ軽くショックだぞー…。」
「あぁ〜…、ご、ごめんねお父さん…。」
「まぁ、いいけどね。…んん?どうしたんだみちる、そのいかにも『よそ行き』風な服は。」
「えっ!?(ほ、本当の事を言ってしまうのは…うぅん…。)あ、あ…明日ね!お友達と遠くの街までお買い物に行くの!
だから…ちょっとキレイな服着てきたいなー、って…。」
「……!! そ、そうか…。まぁそれならいいんだが…。 まさか…そのお友達って、『男の子』なんじゃないのか?」
「(ギクリ!)…そ、そんな事ないよぅお父さん〜。バトンクラブのまひろちゃんたちと…。」
みちるちゃんは何とか取り繕おうとしますが、その目は明らかに泳いでいます。
みちるちゃんの父親は、その様子からすぐに”ウソをついている”と確信しました、が…。
「そうか…。楽しんでらっしゃい。 …じゃあ、パパはもう寝るから。」
「う、うん!おやすみ〜! ふぅ〜…、な、なんとかごまかせた…。
お父さんってばいっつもこうなんだもの。ちょっと『男の子と遊ぶ』って言っただけで、すぐに『ダメだ!』なんて…。
ま、いっか。お父さんも気づいてなかったみたいだし。…おやすみ〜。」
みちるちゃんも、全てのしたくを整え、眠りにつきました。
しかし、みちるちゃんが眠りに落ちて、比較的すぐ…。
…お前か?ちょっと頼みたいことがある。
…何スか?…の旦那。こんな夜更けにあんたから電話なんて…。
あぁ。実はな…”ちょっとヤバイ事件”に遭遇しちまってよ…、オレ一人では心ともないんだ。
はぁ…。それでオレを?あんたと違ってオレは明日も仕事なんスよ?
…えっ! どうしてもオレが来なくちゃダメっスか? しょうがないな…… 明日っスね?待ち合わせは………。
仕事なのにすまねーな。頼りにしてるぜ。 ガチャッ、ツー、ツー、ツー…。
…そんな中、怪しげな計画が着々と進行していたことに、二人はまったく気づいていなかったのです。
*
そして運命の土曜日。…カロンは”アカネさん”との待ち合わせ場所である、鎌倉駅前の時計台の前へと到着したようです。
「9時45分…か。少し早く来すぎたかな。…でもいいよね。こういうものはなるべく早く到着しろ、って
どっかの雑誌に載ってたし。…とりあえず待とう。」
と、言うわけでカロンは”アカネさん”を待つことにしました。しかし、待ち合わせ時間を5分過ぎても彼女は来ません。
最初はドキドキしていたカロンでしたが、次第に焦りの色が見え始めてきました。
「こ…来ない…。(ま、まさかこれは…『はめられた』ッ!?あぁいう発言でぼくをここに呼び出して、
どこかに隠れてまごついているぼくを笑う気なのかッ!? …いや、待て待て、アカネさんがそんな事するわけないし…。
それに来ないっていってもまだ五分!もうちょっと待とう…。)」
普通五分ぐらいなら特に問題ないと思いますが、この時のカロンは非常に焦っていたのか、
少しの遅れでも相当ピリピリきていたようです。…すると、その時"彼女”が時計台の前に姿を見せました。
「(…?誰か来たのか…。ってアレは!)…み、みちるちゃんッ!?」
「その声は…カロン君ッ!? ど、どうしてここに!?」
それはみちるちゃんでした。今日のみちるちゃんは緑色のカーディガンにちょっと長めのスカート、
少しちっちゃな青色の帽子を頭にのせ、首には青色のスカーフを巻き、どこかよそ行き風で可愛い服装をしていました。
カロンにとって待ち人ではなかったわけですが、そんなみちるちゃんを見て、カロンは少なからず動揺してしまいました。
カロンはとっさに首にかけていたペンダントを服の中に隠しました。
みちるちゃんも同様にスカーフの中にペンダントを隠します。
「あ、あぁ…あ。ど、どうした…の?そのカッコ…。」
「え!?う、うん…ちょ、ちょっと今日は『人と会う』から…ね。」
(マズイ!実にマズイ!…こんな所でアカネさんが来たら…彼女にどう説明したらいいか分からないよ!)
(ど、どうしましょう…まさかカロン君がここにいるなんて…。こんなんじゃアルタイルさんに会った時…。)
二人とも、”自分の目の前にいるのが待ち人”だとは考えないのでしょうか。
しかし当の二人はそんな事は露知らず、ただただ自分の隣を警戒しているのでした。本当はさっさとどいて欲しいのでしょうが、
二人とも何故ここにいるのかも告げずに”どいてくれ”とはさすがに言いだせず、1mほど離れ、背を向けてもじもじとしています。
そして、そんな様子を草葉の陰から見ている人がいました…。
「野郎〜…、ウチの娘にあんなにもくっつきやがって、えぇい、ムカつくぜ…。
このムカつき、残りの人生全てで償ってもらうぞ…。おい、赤木!お前ちょっと土台に…。」
「待たんかいィィ!!奴ってアレ…娘の彼氏ィィィ!?」
「彼氏じゃねーよ! あんな金髪チャラ男、パパは絶対認めねーよ!!」
「うっせーよ!!オレもアンタが鎌倉警察署の敏腕刑事だなんて絶対認めねーよ!!」
それはみちるちゃんの父親でした。どうやら最初からここで同僚と一緒に張っていたようです。
同僚は父親の破天荒な言動に思わず怒ります。しかし、そのためか…。
「…?い、今何か声が…。」
「!!おい赤木!大声出すんじゃねぇ!バレちまうじゃねぇか!」
「え…!?あ、あぁ…。」
「…(と、思ったけど…この時間だと結構人いるし…。気のせいだよね。)。」
大声だして叫んだせいで、カロンに気づかれかけましたが、なんとか気づかれなかった模様。
彼らは小声で話します…。
「…何だよ、何か大きな事件かと思ってついてきたら…娘のデート邪魔するだけだぁ!?帰る!」
「おい、誰がそんな事言った?オレはあの金髪のガキを抹殺してほしいだけだ。」
「もっとできるか!! たかが娘に男が出来たぐらいで暗殺だぁ!?マフィアかあんたは!?」
「警察なんてみんなマフィアみたいなもんだ。それに娘のためなら護人にもマフィアにもなるのが父親ってもんだ。」
「そんな事聞いたことねぇよ…。それにしたって暗殺はおかしいだろ!?」
「あんな金髪のガキがみちるを幸せにできると思うか!?いやぁ無理だろう!
そりゃあ…オレだって娘の選んだ男は認めてやりてーよ。悩んで、いろいろ考えた…。
そんで、暗殺しかねーな、ってことに…。」
「なんでそんな結論になるんだよ!?あんた絶対頭おかしいぞ!!」
「うるさい黙れ!とにかく、オレはやるといったら殺る!いいな、邪魔だけはするなよ!」
「(じゃあなんで俺を呼んだんだ?)だ…だから待てって…。アレ、確かに近づいているように見えるけどよぉ、
だからと言って何かしようってわけでもねえじゃん、あの子。それにあんたの娘だってそっぽ向いてるみたいだし…、
本当に誰か他の友達を待ってるだけなんじゃねーの!?」
「そ…そうか、それなら…いいんだが…。」
「そーそー。ほら、こんな事してねーで帰ろうぜ。」
「仕方がないな…それじゃあ…。」
みちるちゃんの父親とその同僚は、こそこそと草むらの中から出て帰ろうとしました、しかし…、ここである事が起こってしまったのです。
それは、みちるちゃんとカロンの間で…。
(うー…、何か緊張しすぎでのどかわいてきた…、ちょっとそこの自販機でジュースを買おうかな…。)
「(マズイわ、非常にまずい!…なんとかカロンくんにはこの場から引いてもらわないと…。)あ、あのっ…」
みちるちゃんはカロンにこの場を立ち去ってもらおうとカロンの方を向きます。
カロンは自販機のある方向…、みちるちゃんが向いた方向へと歩いてゆきます。
「えっと…自販機、じはんき〜…、ああっ!!」
その瞬間、カロンは何かにつまづいて転び、あろうことか…、
みちるちゃんとぶつかり、”みちるちゃんを押し倒して”しまったのです。
それを見ていたみちるちゃんの父親がどう思ったかは…想像に難くないでしょう。
「う…うぬぉオォォォオオオオオオ!! あ、あのガキィィィ!!ウチの娘に何を、何をぉおおおおおお!!」
「お、落ち着け…落ち着いてくれェ!!」
「み…みちるちゃん…!あ、あぁあ!ご、ごごごごめんっ!!」
「う…、うん。 それはいいけど…早くどいて…。」
「あ、あぁああ!うん!!」
カロンはゆっくりと体を起こします。しかし…、その瞬間カロンは、ほっぺたの辺りに何かおかしな感触を感じました。
それは何だかピリピリして何かが流れるよう…、…いや、これは”痛み”です。
なんと、カロンのほっぺから血がたらーっと流れ出してきたのでした…。
「ん…んん!? な、なんじゃこりゃあああ!!」
「!?ど、どうしたのカロン君!」
「いて…いてててて…。なんで、ほっぺから血が… …いいいーっ!?」
カロンは痛みで少しほっぺを押さえ、時計台の方を向きます。
するとそこには…ピストルの弾が当たったかのような穴がぽっかりと開いているのです。
カロンは大まかながら今現在置かれている状況を理解したようです。
「(こ、これって…『ピストルの弾』!?じゃあ、この傷は…かすったから!?
な、何で!?何でこんなことが…!?)……ん? わ、わあっ!!」
と、少し頭の中で分析をしていると、さらにもう一発、ピストルの弾が飛んできました。
幸いピストルの弾はカロンの頭よりも高い位置に当たったようですが、
そのような事に対して敏感になっていたカロンは、それだけで驚きたじろいでしまいました。
「お…おい!なんで撃つんだよ!?警察が守るべき市民撃ってどうすんだ!?」
「黙れーッ!!パパはアイツをこの街の市民だとは認めねェーッ!絶対認めねぇぞー!!
うちの娘に…うちの娘に…あんな事を!絶対に許さん!!
それにこの銃弾はマジ物じゃない、ゴム弾だ。…実弾は手に入れることが出来なかった。」
「いや、それだってダメだろ…!く、くそう…完全に狂っちまってるッ…!」
「うわぁああ…ああっ…!!」
「カロン君ッ!?どうしたの?どうしたのッ!?」
みちるちゃんはこの状況が一体何なのか良く理解していないようです。
突然の発砲に驚いたカロンでしたが、すぐに正気を取り戻し、即座にみちるちゃんの手をつかみます。
「みちるちゃん…逃げよう!! ここにいちゃヤバイよ!」
「へ…!?そ、それってどういう」
「いいから!早くしないと二人とも… う、うおぉおおおおおっ!!」
「ま、待ってよカロン君… あああああぁぁああああ…」
カロンはみちるちゃんの手を引っ張って、力の限り走り出しました。
メテオさんとの特訓で鍛えられていたのか、カロンの速力はもはや大人と互角のスピードになっているようです。
そしてそんな様子を見て、みちるちゃんの父親は…。
「んんッ!?あ、あのガキ…逃げたなッ!!今度こそ逃がさ…チィ、弾切れか…」
「な、何だあの子のスピード…アレは並の人間のスピードじゃないぞ!おい…」
「こら赤木!何ぼさっとしてる!追うぞ!!絶対に逃がすな!!」
「お…追うのかよッ!?もうあれぐらいで勘弁してやれよ!このままじゃオレ等、警察なのにムショ入りしちまうんだぞ!?」
「何を言うか!あのまま娘が***(諸事情により伏字)とか、****とかに連れ込まれたらどうする!?あのガキならやりかねん!!」
「あんたなぁ…小学生がそんな事考えるかっつーの!!それぐらいアンタでも分かるだろ…」
「いいから早くしろ!…なァに、『変装用』の道具ならたくさん持って来たからな!!
待ってろ、みちる!パパが…、パパがあんなガキなんぞけちょんけちょんにやっつけてやるからな…!!」
「う、うおおぉおぉっ!オレはもう知らんぞっ、知らねぇからなッ!!」
*
「はぁ…はぁ…はぁ…。ここまで来れば…一安心…。」
「はぁっ…、はぁっ…はぁ…あふっ…。」
「み…みちるちゃんッ!?だ、大丈夫ッ!!?!」
カロンたちは必死に逃げ、とりあえず海沿いの住宅街の方へと辿り着いたようです。
「へ、平気。…だけど、どうして?なんでいきなりこんな所まで!?わたし、駅で人を待ってるのに…!」
「(駅で人を待ってるのはぼくも一緒なんだけどな…)そ、それが…。
今さっき駅前の茂みの中から…う、『撃たれた』んだッ!幸い弾丸はそれてぼくはほっぺたを傷つけるだけだったけど…、
あのままあそこにいれば、ぼくは…いや、ぼくたちは確実に…!」
「え…!?う、撃たれたのっ!?カロンくんが!?え、えぇえーっ!?
(な、なんなのこの状況!…わたしはただアルタイルさんに会いに来ただけなのに!)」
「へ、平気だよ、一応かすっただけだし…。(まずい…非常にまずい!もう集合時間をとっくに過ぎてる!
アカネさん…もう来てるだろうなぁ…。)」
相変わらず待ち人は自分の目の前の人間だとは気づかず、待ち合わせに遅れたという事実に焦る二人。
しかし、このままではいけないと思ったのか、カロンはとりあえず辺りを見回して安全を確認した後、みちるちゃんにこう言います。
「(よし…何もない…な。)あ、あの〜…みちるちゃん?もう誰も追ってこないみたいだし、ぼ、ぼくは…先に行くね。」
「え、えぇ…。わ、わたしも…行くね。(そうだ!早く時計台の前に行かなければ!撃たれた話なんかでびびってる場合じゃないッ!)」
と、言うわけで二人はまたも駅前の時計台の前へと戻ろうとします。しかし、その時…。
「…ん?何か…何かがこっちへとやってくる…。 何だ?アレ…。…………え、えぇぇぇぇえっ!?な、何だよアレッ!!」
カロンはとんでもないものを目撃したみたいです。それは…
”全身を黒マントで覆い、顔にはジェイソンマスクに黒いシルクハット、手には釘つきのバットと催眠スプレーのようなもの。
しかも長身で二人組の大男です。まさに変人と呼ぶのにふさわしい格好。
カロンとみちるちゃんがパニックに陥るのは至極当然でした。。
「ぎゃああああああ!!変な人が向かってくるゥ!!!」
「なんなの…なんなのアレ!?きゃあああああ!!」
(おい…、あんたの娘にまで怖がられてるぞ!?やっぱまずいんじゃねーか!?このカッコ!)
(問題ないッ!!娘さえ救えればなッ!それに声とて変声機で変えている!ばれる事はありえん!!
だからこそ、あの金髪のガキを叩きのめし…。)
(お…おいッ!ムショに入って娘さんを悲しませるような事にだけはするなよォォォッ!、頼むからッ!!
オレもあんたも娘さんも困るんだぞ、それは!)
「うわああああああ!!何だよもう!!何で追ってくるんだぁ!?」
「分からない、わからないよぉ!でも…怖いッ!!」
カロンとみちるちゃんは必死に住宅街の中を走り回りました。しかし、すでにカロンの体力はほとんどなくなりかけており、
みちるちゃんにいたってはもう虫の息。…追いつかれるのはもう時間の問題でしょう。
しかしそこで、カロンたちの目の前にある人物が現れました。
「…痛ッ!!な、何なんだ急にッ!!」
「はぁ、はぁ、はー…ご…ごめんなさいッ!! ちょ、ちょっと人に追われてて。はぁ、はぁ…」
「どうもごめ…!! あっ!た、高井さん!」
「?ど、どうしたのみちるちゃん、知り合い?」
「知らないの?潮騒学園高校野球部の…ってカロンくんは知らないか…。」
カロンとみちるちゃんは高井さんにぶつかったようです。みちるちゃんはカロンに高井さんの事を少し説明するのですが、
以前バトンクラブの皆で応援に行ったときにはいなかったカロンには誰なのか分かるはずはありません。
と、言うよりも今のカロンには高井さんがどんな人かどうかなんてどうでもよかったのです。なぜなら…。
「ど、どうも… …って!また来たよ、あの変質者!!」
「きゃああああ!!」
「…??うわっ、何だアレ!何かの仮装大会かなにかかい?」
「あ、あのっ高井さん!わたしたちこれで失礼します!」
「は、はやくしないとアレに…ッ!!」
「…?事情は良く分からないが…、分かった、君たちは早く逃げるんだ。ここはオレがなんとかしよう。」
「は、はい…って!大丈夫なんですか!?あいつら釘つきバット持ってるんですよ!?無理無理ッ!!」
「今はそんな事を言っている場合じゃないだろうッ!君たちは早く逃げるんだ!」
「は…はいっ!!」
カロンたちは、とりあえず高井さんにあとを任せ、そのまま住宅街の奥のほうへと逃げてゆきました。
高井さんは追ってくる黒マントの二人組の前に立ちはだかりました。
(ま、マズイぜ旦那!!なんかガタイのよさそうな奴が目の前に…。)
(問題ないッ!今の私の前に立ちはだかる者は…、誰であろうとぶっ飛ばす!!)
(おいッ!、ちょっと待てッ!あんた何するつもりだ!?)
「お、おいッアンタたち!何そんなカッコで子供達を追っかけまわして… う、うむむ…む。」
黒マントの男、もといみちるちゃんの父親は、高井さんに近づいたその一瞬に、
持っていた催眠スプレーを高井さんにすわせたようです。…高井さんはふらふらっとして、その場に倒れこんでしまいました。
「どうだ、効くだろう!以前ある事件で押収した催眠スプレーは…。」
「(そんなもんまで用意してたのか!)…って、アンタ何やってんだ!?民間人にスプレーなんてかけやがって!」
「そりゃあ…民間人にピストル向けたりバットで殴ったりしたら犯罪になるからに決まっているだろうが。」
「じゃあ、なんでそんな物騒なもん持ってんだよ!」
「そりゃおめー…、あの生意気なガキを八つ裂きにするために。」
「それも立派な犯罪だろうがよ!!アンタ本当に刑事か!?」
*
「はぁ、はぁ…、高井さん…大丈夫かなぁ…。」
「ひぃ…、ひぃ…。だ、大丈夫だよあの人なら…。」
「…どうしてそう思うの?」
「い、いや〜…なんとなく。」
疲労し、かつ弱気になったみちるちゃんにカロンは根拠のないセリフで元気づけようとします。しかし、彼等の後ろには…。
「……あ、あぁああ…ッ!!」
「?どしたのみちるちゃ…」
「カロンくん!う、うしろ…うしろ…ッ!!」
「うしろ?それが一体… う、うひぃぃいいいっ!?」
彼等の目の前にはさっきの二人組が見えていました。おそらくあの短時間で追いついてきたようです。
「う、うわあああ…あっ!!」
「ひ、ひぃいいい!!」
あまりの恐怖に、カロンとみちるちゃんは疲労の上に足がすくんでその場に座り込んでしまいます。
しかし、それでも逃げようとするのか、手を使って少しづつ体をうしろのほうへと移動させます…。
「鬼ごっこはしまいだ。さぁ、さぁ…!」
(お、おい!何もそこまで…まさか本気で殺るんじゃ…。)
「こぉーろぉーすぅー… こぉーろぉーすぅううー!!」
「(ま、マズイ!完璧に我を忘れているッ!! このままだと本当に殺りかねねぇッ!)
おいッ!ちょっと待て!あんたやっていいことと悪い事が… ひでぶっ!!ぶぎゃああああ!!」
「こぉーろぉーすぅー… こぉーろぉーすぅううー!!」
同僚の刑事は、ついにみちるちゃんの父親を止めるため、彼につかみかかりました。
しかし今の彼はもはや理性などとうに消し飛んでいました。
みちるちゃんの父親は、つかみかかってきた同僚の胸ぐらをつかみ、片手でぶぅんと放り投げました。
同僚は頭をぶつけ、少しの間気絶してしまったのでした。
その様子を見ていた二人は、とうとう手の力すら入らなくなり、その場に完全に座り込んでしまいます。
「お、おしまいだぁ…今度こそ、おしまいだぁ…。」
「か、カロンくん…。」
カロンの目は涙でうるみ、体全体がぶるぶると震えています。
しかし、理性をなくしたみちるちゃんの父親は、そんなことなど意に介さず、淡々とカロンに近づいてきます…。
10m、9m、8m…彼が持っている武器の"射程距離”にゆっくり、ゆっくりと迫ってきます。
しかし、その瞬間、双方共に予想だにしなかった展開が彼等を襲います。それは…。
「う…あぁう… んん?え…! わ…うわあああああ!! く、くるまぁああ!!!」
なんと、カロンとみちるちゃんが座り込んでしまっていたのは”道路上”だったのです!
おそらく必死に、恐怖におびえながら逃げていたためそんなことなどまったく気づかなかったのでしょう。
車は瞬く間に二人の前へと…。そしてそんな状態を見て、ようやくみちるちゃんの父親も正気を取り戻したらしく…
「あ…ッ!み、みちる、みちるーッ!!!」
みちるちゃんの父親は思わず叫び、彼等の側へと走ります。しかしもはや間に合いませんでした。
車は、ふたりの居る場所よりも前で止まることは出来ずにそのまま…。
「み…ち…る…! お、おぉおおおおおおおおーっ!!」
みちるちゃんの父親はその場に崩れ落ちて大泣きしてしまいました。
”愛する娘が事故に遭った”…大の男が大泣きするには十分すぎる理由でしょう。
その上、”もっと早くに気づいてやれば…”という自責の念もあるわけですし。
彼は車の運転手をとがめることをも忘れ、ただただ泣き続けました。…しかし、少し落ち着いて考えると少し変です。
もしもひかれたのであればそれ相応のえぐい音が流れたり、その場にたくさんの血が飛散するはずです。
…彼は正気を取り戻すと、その辺の疑問に気がつきました。
そして、考え直し再び車の周りを見回し、あることに気づきます。
「…ど、どういうことだ!? 車の周りには誰もいない!血もついていない!
じゃ、じゃあ…みちるは…どこに…!!」
みちるちゃんの父親が奇妙な出来事に頭を抱えていると、車の運転手が、
みちるちゃんの父親とは逆のドアから出てきて、こう言います。
「う、わああああああ…! だ、大丈夫だったかい『君達』!怪我は…。」
「な…なんだとッ!?も、もしや…!」
彼はすぐさまその車の反対方向に回りました。すると、そこには…、
”みちるちゃんを抱きかかえ、ギリギリ車に当たらないで済んでいた”カロンがいました。
…おそらく、車に轢かれそうになった瞬間、みちるちゃんを抱きかかえ、反射的に道路の端へとジャンプしたのでしょう。
しかし、着地時の態勢が悪かったのか、体の色々なところに擦り傷が見られます。
「大丈夫かい?待ってて、今病院に…。 う、ううぅむ…。」
みちるちゃんの父親は、車の運転手に催眠スプレーを吹きかけて眠らせてしまいました。
そしてみちるちゃんを抱きかかえて気絶しているカロンを見下して…
「(まさか…あの体勢から、しかも車を避けられるほど横に飛んだ…!な、なんでそんな事がこんな子供に…!)」
「う、うぅううー…ん。」
「!!」
その瞬間、カロンは気がつき体を起こしました。そしてまず最初に目に入ったのは…。
「い、ててて…。う、ううっ!!」
そう、仮面とマントをつけたみちるちゃんの父親でした。しかし、彼はこんなに近くにカロンがいるというのにも関わらず、
まったくカロンを襲おうとせず、その場に立ち尽くしています。彼はその時、上記の疑問で頭がいっぱいだったからです。
「…?(なんだ…?何で襲ってこないんだ? な、何にせよチャンスかもしれない、このスキに…
…うっ!あ、足が痛い…!そ、そうか…さっきジャンプした時に…。)」
カロンは逃げようとしましたが、さっきジャンプした時に足をひねったのか、痛みで動く事すら出来なくなっていました。
そしてさらに間の悪いことに、ようやくみちるちゃんの父親も正気を取り戻し、カロンの方へと向き直ります。
(おっと…そんな事を考えている場合じゃない。…まずはコイツを…!)
「(う…!来たッ、動いたッ!!)みちるちゃん!みちるちゃん… き、気絶してる!」
カロンはみちるちゃんをゆすりましたが、反応はありません。…みちるちゃんはさっきから気絶していたようです。
カロンは心の中でこう思いました。”奴はぼくらを狙ってここまで来た。…今ここでぼくがみちるちゃんを見捨てて逃げれば、
もしかしたら奴はもう追っては来ないかもしれない。けど…、けど…!
…何を迷うことがある?彼女とぼくは学校のクラスメイトだけれど、結局は赤の他人なんだ!
一番大切なのは自分の命!こんな状況で他人なんて、他人なんて…。”…と。
みちるちゃんの父親が動きだします。しかし、カロンの方に進んだわけではありませんでした。
そう、今の彼の目的はカロンを八つ裂きにするのではなく、気絶したみちるちゃんを介抱することにあったのです。
しかし、そのためにみちるちゃんに近づこうとする彼の姿は、カロンにとっては”みちるちゃんによからぬことをしようとしている”
風にしか映らなかったようです。そしてカロンは、ある行動に出ます…。
「みちる…すまなかったなぁ、もっと早くにパパがお前を止めていれば…だが心配はいらんよ、
パパがあんなひどいやつはすぐに… んん!?」
「はぁ…はぁ…はぁ… 彼女から…離れろッ!この…外道ッ!!」
カロンは…力をふりしぼってみちるちゃんとその父親の間に立ちはだかり、震えかすれた声で彼を精一杯威嚇します。
「な、何ッ!?き、貴様…貴様なんぞに何が分かる!その子は…。」
「お、お前の言い分なんて分かりたくもないし…お前が何をしようかなんてのにも興味はない!
けど…、ぼくならまだしも、気絶しているみちるちゃんに何かするのだけは許さない!
どうせ何かやるんだったら、このぼくにすればいいだろ!この子には手を出すな!!」
カロンは以下のセリフをみちるちゃんの父親に言いました。この時カロンには、下心など何一つ無く、
ただただ純粋にみちるちゃんを守りたい、そう思ってボロボロの体を起こしてまでこう言ったのでしょう。
そしてそれを見るみちるちゃんの父親には、カロンの目に”闘志”のようなものが秘められていることに気がつきました。
(このガキ…、何でここまで、ここまでみちるを… …!! そ、そうか…この子は…。)
「さぁ…どうした!向かってこないのか!だったらこっちが…」
「…もういい、これまでだ。」
「…?な、なんだって?」
みちるちゃんの父親は突如、持っていたバットを地面にほおりました。
カロンはとまどいを隠せない面持ちでそんな彼を見ます…。
「私は…今まで君を抹殺するつもりだった。…につく虫は早くに潰しておきたい。そう思っていた…。」
「は、はぁ…?」
みちるちゃんの父親はカロンに向かって自分自身が思っていたことを打ち明け始めました。
しかし、目の前に立つジェイソンマスクとマントをつけた人物かつ、みちるちゃんの父親だと知らないカロンには、
彼の言っていることなど理解できるはずもありません。しかし、彼は続けます…。
「しかし、君はただの娘についた虫ケラとは違った。…君は本気で娘を守ろうと、この私と戦おうとした。
…そんな君を、誰が抹殺できようか。」
「は、はぁ…それは〜…どうも。」
「…今日の所はここで引き上げだ。…さんざん迷惑かけてすまなかったね。」
「い、いえ…済んだ事ですし。…ところで、あなたは一体…。」
「おっと。自己紹介がまだだったね。私はー…」
みちるちゃんの父親はマスクを脱いで正体を明かそうとします。しかし、その時…。
「お、おまわりさーん!いましたよ、アイツです!!」
「…な、何ッ!?お巡りッ!?」
「あ…ええっと、アレは〜…さっきの高井さん。」
なんと、さっき眠らされていた高井さんがお巡りさんを連れてやってきたのでした。
おそらくあのあとすぐに起き上がり、近くの交番に駆け寄ったのでしょう。
「あー、こいつかい?君の言う『危ない奴』っていうのは?…確かに外見は相当怪しいねぇ。」
「はい、間違いありません、コイツです。…さっき僕はコイツに睡眠薬みたいのをかがされて…。」
「なんと!睡眠薬とな!なんと危険な男か!この場で逮捕させてもらうッ!!」
(ま、マズイ…刑事のオレがここで逮捕されるのは…非常にマズイ!)
「おい!そこのお前!逮捕す…」
「うぉおおおぉぉおおおう!」
お巡りさんがみちるちゃんの父親に手錠をかけようとした瞬間、彼はお巡りさんの顔面を殴り、
その側でのびていた同僚をかついで、そのまま走り去ってしまったのでした。
「な、ななな…!た、逮捕だ!逮捕するぅ!! あいつ等…ゆるすまじ!!」
「あ、お巡りさん…、待ってください!」
そしてそれを追うため、お巡りさんと高井さんも走り去ってしまいました。
そしてここにはみちるちゃんとカロンと睡眠薬で眠ったままの車の運転手だけが残りました。
「な、何だったんだ?今の…。」
カロンはまだ状況の把握がしっかりと出来ず、キョトンとしています。
しかし、ボロボロであったカロンは、その場にへたーっと倒れこんでしまいました。
「う、うう…ダメだ。もう全然動けない…。」
その場に倒れこみ、意識もうろうなカロン。しかし、そんなカロンに声をかけてくる人がいます。
「…だいじょうぶ?カロンくん…。」
「み、みちるちゃん…。もう起き上がって平気…なの?」
「うん。わたしは全然平気。・・・あ!カロンくん、足から血が出てる・・・。」
「ん?あ、あぁ・・・(さっきのジャンプの時に足をすっちゃったのかな・・・。)、全然平気だよ。」
「ダメダメ。とりあえず血止めだけしとかなきゃ。」
そういうと、みちるちゃんは首にかけていたスカーフをとって、カロンの足に巻いてやりました。
カロンはそのことを嬉しく思いましたが、それよりも前に”あること”に気付きました。
「?? あれ、みちるちゃん、どしたの、その『赤いペンダント』・・・。」
「あ・・・これ?じ、実は・・・駅で待ち合わせしてた友達のための目印・・・。
そういうカロンくんこそ、さっきまで見えなかったけど、『青いペンダント』してたんだね。おしゃれでいいね。」
「あ、これ?(そっか、さっきのいざこざで隠してたのが見えちゃったのかー・・・。)
これはぼくも友達との待ち合わせに・・・。・・・えっ、ちょ、ちょっと待って・・・。」
「へ?どうかしたの?・・・あっ!! あ、青い・・・ペンダント・・・!」
双方が首にかけていたペンダントを見て、ようやく彼らは理解したようです。
二人は恐る恐る同時に問い掛けます。
「あ、あの〜・・・もしや・・・。」
「アカネさん?」
「アルタイルさ・・・ん?」
「あっ・・・!」
「あっ、あぁあああああ!!」
二人は正面にいる人物が待ち人だということにようやく気付いたようです。
それに気付いた彼らは少しの間互いに顔を見合わせて呆然としていました。
そして、少し時間が経った後・・・。
「・・・ぷっ!あはははははっ。」
「はは・・・はははははっ。 ・・・チャットだったから誰だかわからなかったけど、
まさかみちるちゃんと話してたなんてさ、・・今考えるとおかしな話。」
「そうね。まさかカロンくんがわたしの相談相手になってたなんて。
・・・じゃあ、あの『バトンが上手くない女の子』ってわたしのことだったんだ。ひどいなー。」
「あ、ゴメンゴメン。あは、ははははっ。」
*
「い、ててて…っ。」
「大丈夫なの?立っちゃったりして…。」
「へ、平気だよ、これぐらい…痛ッ…。」
カロンはいかにも平気そうなそぶりを見せますが、カロンの額から流れ出る汗は少ししょっぱいものでした。
そして、ふたりはその後黙って黙々と駅の方まで歩いてゆきます。
…少し歩き、坂の辺りまでさしかかった付近で、みちるちゃんがカロンに声をかけました。
「カロンくん。その〜…ありがと。」
「…?な、なんで?ぼくは別に何も…。」
「…実はね、あの時…変な人がわたしたちを襲ってきた時…うっすらとだけど気がついてたんだ、わたし。
そしたらカロンくんがわたしを変な人から守ってくれてて…。嬉しかった。」
みちるちゃんはほおを赤らめ、もじもじしながらカロンに話します。
「え!?あ、あぁあー、ううん、当然の事をしたまでだよ…。」
そう話すカロンの顔はうっすらと赤くなっていました。
「だからね、ちょっとだけね、その〜……。」
「ん?何か言ったみちるちゃん?最後の方良く聞こえなかったけど…。」
「な、なんでもない…。」
「…へ?でも何か…。」
「な、なんでもないっていってるでしょ!」
その瞬間、みちるちゃんはカロンのほおにビンタをしました。
普通ならちょっとのけぞるぐらいなのでしょうが、この時のカロンは満身創痍。
ちょっとしたビンタを喰らっただけで倒れてしまい、そのまま坂をゴロゴロと下ってしまいました…。
「うわ、うわああああああああ!!!助けて!助けてたすけてぇぇえええ!!」
「か、カロンくんッ!カロンくんー!!!」
あのね、ホントはね、こう言いたかったんだよ、カロンくん…。
『ちょっとだけ、カロンくんのことが好きになっちゃった』…って。
おしまい。
「う〜…いててて…。ひどい目に遭った…! もう歩きたくないよー…。
ただいまー。…お姉ちゃん、いるー?」
「おしまいよぉ…何もかもおしまいよぉぉぉおおお!!!」
「!?ど、どうしたのお姉ちゃん!?そんなにどんよりして部屋の隅っこで!! …しかも何なのさその変なドレスみたいなの!」
「おしまいよ!おしまいなんだわぁあああああ!!!」
「だ、だからどうしたのさお姉ちゃん!!」
…続く?。
…年内初執筆の作品。何とか製作期間も一ヶ月弱ですんだのでホッと胸をなでおろしています。
とりあえず”ネット上で話していた人が実は知り合いだった”という話がやりたくて、
そこから”どんなキャラが良いか?””どんなストーリー展開ならうけるか?”などをちまちまと考えて書きました。
その結果"カロンとみちるちゃん”という不可思議な人選になったわけですが(笑)、まぁそれなりに良くなったかと思います。
ただ…オチ付近のカロンとみちるちゃんの会話はベタベタですね、何て言いますか(笑)。
書いた本人が一番焦ってますよ、こんなタイプのものなんて滅多に書きませんし。
しかしチャット方式の会話って(字数は無駄に使うことを除けば)なかなか面白いものですよね。
今後活かせることがあれば別のものでもやっていきたいなー、と。
(06,04,05更新)
さらにミラさんからの視点で描いた”番外編”を追加しました。
内容が内容なのでおおっぴらには紹介しなかったのですが、それでも見たいという方はこちらからどうぞ。↓
番外編を見る
それでは、またよろしくお願いいたします。
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