小説・木こりの泉 (余計な解釈付き現代版・郷愁編) その1


 あいも変わらず、今日も平和な藤吉家の朝。…朝食を囲うテーブルの前には、 一家の大黒柱たる景太朗パパが椅子に座り、新聞を睨みつけていました。 そして、どたどたとうるさくもあり、楽しげな足音。ふたごの兄妹、ツヨシくんとネネちゃんが起きてきたようです。 「おはよー!パパ、ママー。」 「おはよー!」 「はい、おはよう。今日はママが起こしに行かなくても起きられたんだ。えらいわね。」 「えへへー。ツヨシくんほめられた。」 「ちがうよー!ほめられたのネネちゃん。ツヨシくんじゃない!」 「ちがうー!ほめられたのツヨシくんー!」 「ちがうちがうー!ほめられたの」 「こらこら、そんなことでケンカしないの。両方えらいえらーい。…ね?」  沙也加ママは、どちらがほめられたかでいがみ合う二人を言葉で制止し、両方の頭をなでてあげました。 二人はうれしくなったのか、怒っていたことも忘れ、席に着きました。 「ママー、朝ごはん、なーにー?」 「おなかへったー。」 「はいはい。げんきんなこと。…今できますよー。」 「げんきん?お金なんてどこにもないよー?」 「……よくそんな言葉知ってるわね。どこで覚えたのかしら。」  沙也加ママが朝食の準備を始めた途端、彼らの興味は彼女から、眉間にしわを寄せて新聞を睨みつける景太朗パパに移りました。 二人は彼のほうを向いておはようと挨拶をします。 「パパー、おはよー!」 「おはよー!」 「………………。」  二人は元気良く挨拶をしたのですが、景太朗パパは知らぬ存ぜぬと言った感じで、まったく動じません。 「…パパ、何も言わないね。」 「どうしたのかな?」 「………あ!ツヨシくんわかったー!」 「え?何が?なにが?」 「パパだよ、パパ!きっと、そうだ!おなかがすいてうごけないんだ!そうだ!そうだよ! ママー、たいへん、たいへんー!パパがおなかがすきすぎて、うごかなくなっちゃったよー。はやくあさごはんー。」  ツヨシ君は、景太朗パパが何も反応しないのを「腹が減って動けない」と思い、 沙也加ママに早く朝食の支度をするように促します。 「いやいや、そんなことはないでしょ。……パパ!パパー!………。」 「……パパ、こっち見ないー。」 「やっぱり、おなかがへってるんだよー。」 「うぅん。…困ったわねぇ。……そうだ。」  沙也加ママが目の前で言っても、景太朗パパは無反応。 困り果てた沙也加ママは、彼の耳元に近づくと、ささやき声でこういいました。 「……きゃあ、大変!パパの模型の船がバラバラになってるわ!」 「………な、何ぃ!?なんだってぇええ!?あ、え、ちょ……うわぁ!!」  ようやく景太朗パパは気がついたようですが、突然の事で驚き、椅子の上でバタバタと暴れたために、 椅子からずっこけて、フローリングの床に後頭部をしこたまぶつけてしまいました。 彼は痛そうに頭をさすりながら、すぐさま起き上がり、 「何だって!?どれが?どれがぶっこわれたんだ!?」 「…落ち着いてパパ。嘘よ。う・そ。」 「え、嘘なのかい?……あぁ、あぁ、もう。…いてて。」 「それはそうと、なに読んでたの、パパ。」 「うん?…これのことかい。見てみろ、これを。」 「見てみろ……って、むずかしい漢字ばっかでツヨシくん、よくわからない。」 「ネネちゃんもわからない。」 「あぁ、そうか。…お前達には分からないか。じゃあパパが分かりやすく説明しよう。 …新聞のこの記事を見てごらん。最近、山に勝手にゴミを捨てる人が増えたんだそうだ。 そのせいで、山の中でもごみの臭いがついちゃったり、川も汚くなったり、動物達も住めなくなっているんだ。」 「そっか…、確かにそれは、ツヨシくんゆるせない。」 「ネネちゃんもゆるせない!みんな、ひどい!」 「だろう?だから、近々近所の人達と抗議運動を起こそうと考えているんだ。 僕達一人一人の力は弱い。でも、それがたくさん集まれば、きっと分かってもらえるはずさ。」 「うん!がんばろう!ツヨシくん、パパの応援するー!」 「ネネちゃんも、ネネちゃんもー!」 「ははは。それはありがたい。」    そんな事を子ども達に説明していると、ベーコンエッグの載ったお皿を持った沙也加ママが話に入ってきました。 「…そうね。この近くにゴミ捨て場を増設する、なんて話も出てきたみたいだし。 このままじゃ、街がゴミ処理場になっちゃうかもしれないものね。」 「…あぁ、さすがママだ。詳しいね。」 「えぇ、だってこの話、昨日届いた地域新聞に載ってた話だもの。ほら、写真付きよ。」  沙也加ママは、テレビの上に載っていた冊子のようなものを景太朗パパに手渡しました。 そこには、山のすぐ近くにゴミ捨て場を増設し、他のゴミ捨て場の負担を軽くする等の旨が、 建設予定地の写真と共に長々と書かれていました。 そこには、多くのゴミが不法投棄されて、木も土も汚れ、ゴミの山と化した土地が広がっていました。 景太朗パパは、眉間にしわを寄せて記事を見ます。 「…前々から見慣れている光景ではあるが、こうして写真にされるとショックも大きいな。…こりゃあひどい、酷すぎる…。」  景太朗パパは、地域新聞に載っていた、新しいゴミ捨て場の写真にひどいショックを受けたようで、 雑誌を手にして少し考えると、何かを決心したのか、神妙な面持ちで立ち上がると、 「ゴメン、ママ。…朝ごはんはいい。少し出かけてくる。…昼ごろには帰ってくるから。」 「?ど、どうしたのパパ、いきなり。」 「…ゴクヒ、任務だ。詳しくは話せない。それじゃっ。」  景太朗パパはそうつぶやくと、どこかへと出かけてしまいました。 静かな、しかし、何か大きな使命感を帯びた何かを瞳に宿したまま。当然、残された家族は意味不明です。 「ど、どうしちゃったのかしら。」 「パパ、この写真を見てから、いきなりかたまっちゃったんだよ。」 「なんなんだろうねー。」  ツヨシくんとネネちゃんは、残された残された地域新聞を手に取り、そこに描かれた写真を見ました。 写真のほとんどがゴミの山に埋もれている状態でしたが、彼らはその中心部に、 『多くの小さな星に囲まれた、しずくのようなマークのある大きな岩』があることに気がつきました。 「…なんだろ、これ。…へんな石。」 「パパ、これを見てたのかなー?なんなんだろ。」   「おふぁようございま〜す。…あれ、みんな、どうかしたんですか?」  そこでコメットさんが、今の状況を知ってか知らずか、空気を読んだか読まないかは分かりませんが、2階から眠そうに降りてきました。 「あ、コメットさん。おはよー。」 「今日も一番おそいねー。」 「あはは。どうにも朝はちょっと、ね。」 「ところでさ、何かあったの?」 「うん、ちょっと長くなるんだけど……。」  コメットさんはいつもと様子が違うことに気づき、眠そうに目をこすりながら、その理由を問いただします。  ツヨシくんは、コメットさんに事の次第を説明しようとしましたが、その言葉は沙也加ママにさえぎられました。 「…ツヨシ。確かに、パパの話は気になるけど、先に朝ごはんを食べてくれないかしら。 こっちは、今食べてもらわないと、冷めちゃっておいしくなくなるわよ?」 「あ、そうだ。朝ごはんのこと、忘れてた。…ツヨシくん、たべる。」 「あーずるい。ネネちゃんもたべるー。」 「はいはい。…ネネ、そればっかね。…ささ、コメットさんも席について。」 「はーい。」  日も大分上がり、朝ごはんを食べ終えた3人は、何も知らないコメットさんに事情を説明し、 景太朗パパの奇行について話し合うことにしました。 「…ふぅん。景太朗パパ、この写真の岩を見たあとに、どっかに出かけちゃったんだ。」 「そーみたい。コメットさん、何か知らない?」 「うぅん。わたしにはなんとも。…でも、このマークは気になる、かな。」 「だよね。星型だし。いっぱいあるし。」 「うんうん。…よし、ちょっと行って、調べてみよっか。」 「うん!行く、いきたーい!」 「あっ、ツヨシくんより先に言ったなー!ネネのくせに!」 「まぁ、まぁ。…とにかく、行って、調べてみよう。ね?」  コメットさんは口げんかする二人をやさしくなだめます。さすがは、「お姉さん」と言ったところです。 「うん。…でも、どうやって?」 「どうやってって、それはもちろんラバボーに乗って…。あ、あれ?」 「?どうしたの?コメットさん。」 「まいったなぁ…。いないよ、ラバボー。いつの間に…。」 「またラバピョンのとこじゃないの?」 「まぁ、そんなところだとは思うけど、それにしたって、わたしが気づかないはずはないんだけどなぁ。…なんでだろ。」  コメットさんはラバボーがいないことを不信に思いましたが、とりあえずそれは一旦置いておき、 ラバボーがいないため、三人はしかたなく、バスなどの交通機関を乗り継いで、その現場に行く事を決めました。
*
「はい、とうちゃくー、とうちゃくー。」 「…うわー。見事にゴミだらけだねー。」 「くさい。…何を置いたらこんなにおいがでるんだろー?」 「コメットさん、どうにかならないー?」  バスなどを乗り継ぎ、大体20分ほど。彼女達は写真の場所に到着しました。 予想通り、周囲は粗大、普通などのゴミが好き勝手に置かれて散乱しており、 流れ出した汚物等のせいでゴミは異臭を放ち、草木もだいぶ弱って、しなり気味でした。 「うぅう。…もちろん、なんとかするよ。…エトワール! ……くさっ。」  コメットさんは右手で鼻をつまみ、左手でバトンを回し、星力をゴミに当てました。 たくさんのゴミはピンク色の光に包まれて、ふわりと空中に浮き、どこかへと飛び去ってしまいました。 「………よぉし。これでオッケー。」 「さすがコメットさんだ。ゴミ、ほとんどなくなったね。」 「でも、まだ大きくないゴミはたくさん残ってるよー?においは消えたみたいだけど。」 「うん?においはね、星力でなんとかしたんだ。ま、それは置いといて、残りのゴミをなんとかしようか。」  コメットさんはさらに、星力で普通の掃除機よりも二回りほど大きな掃除機を出しました。 掃除機は勝手にゴミを吸い始め、地面に転がっていたゴミは、全て掃除機が吸い取り 汚物だらけで汚く、汚臭だらけこの土地は、コメットさん一人の力で、見違えるほど綺麗になりました。 「わぁー!すごい、すごーい!」 「はは、とーぜん。」 「ねぇ、コメットさん。さっきの大きなゴミ、あれ、どこに飛んでいったの?」 「あぁ、あれのこと?持ち主のところ。」 「えっ!?も、持ち主の、ところ!?」 「あ!で、でも…ほとんどは他のちゃんとしたゴミ捨て場に行ったよ! 持ち主の所に戻るゴミは、ふほーとーきされたやつだけ。…悪い事をしたら、ちゃんとつぐなわなきゃいけないからね。」 「そっかー、ならツヨシくん安心。」 「あんしん。…だけど、”つぐなう”って、どういうこと?」 「つぐなう、っていうのはね。えっと…”悪い事をしたときの、ばつ”、かな。多分。」 「ふぅん。………んん?」  一同は、厄介なゴミを片付けてホッとしました。が、片付けたゴミの中から、意外な光景が目の前に広がっている事に気がつきました。 「……あ!コメットさん、みてよこれ!……ゴミの中から…が出てきたよ!」 「ほんとだ!きれー……。」 「これは……、池、っていうより…、かな。大きさから考えると。」  ゴミの山を片付けた中から出てきたのは、直径10mぐらいの小さな池…いや、泉でした。 ゴミに埋もれ、しかも異臭を放ち、川の色も変わっていたはずだから、今まで気づかなかったのでしょう。 ですが、今の掃除でゴミは消え、泉の汚臭や濁りも、掃除機が吸い取ったために、彼らの目の前に現れたようです。 泉のほとりには、写真で見たあのたくさんの星と、しずくをかたどったマークの岩が置かれていました。 「これ、写真に出てた岩だね。この泉のほとりにあったんだ。」 「ねぇコメットさん、ちょっと触ってもいい?これ。」 「うぅ〜ん…。大丈夫かなぁ?やめた方がいいんじゃ…。あやしいし。」 「ええ〜?やだー。触るー。答えは聞かないもーん。」 「あ、ずるい!さわるー!」 「あ!二人とも、まずいって!…あぁ。」  二人はコメットさんの制止を無視し、岩に手を触れました。すると……。 「…!?!?う、うわあああ!まぶしっ!」 「!何、何が起こったの!?」  彼らが岩に触れた瞬間、突然岩から水色の光が放たれ、同時に風が吹き、二人を軽く吹き飛ばしました。 二人は、地面にしりもちをついてしまいます。 「い、いててて………。」 「二人とも、大丈夫!?」 「うん。…こんなぐらいじゃ、なかないもん!」 「でも、な、何だったんだろ…今の。まだ、煙がもくもくいってるし…。」  吹き始めた風は、徐々にドライアイスのスモークのような濃い煙に変化し、周囲が見えなくなり出しました。 が、すぐにその煙は晴れ始め、少しづつ視界も戻ってきました。 「あ、でも…思ったよりうすいよ、けむり。」 「ほんとだ。もう前が見えてきた……あれ?」  煙自体はすぐに晴れてきましたが、彼女達は、その中に、何か、人影のようなものを見つけました。 それは、ほとんど子どものような体型、ツヨシ君たちと同じぐらいの子どものもののようです。 神社の巫女さんが着るような袴を着ており、まるでこの泉の美しさを体現したかのような青い髪と瞳をしていました。 「誰だぁ……?この、ちゃま・・・を呼び出したのは…誰だ!」 「……………は?」  神様と名乗る小さな子どもは、大きな声で3人を威嚇しますが、 コメットさん達はまったくわけが分からないようで、 「ね、ねぇ…泉から子どもが出てきたよ、こども!何なんだろ?」 「うぅ〜ん……、この『子』、この泉の妖精さんかな?なんていうか、それっぽいし。」 「でも、ちっちゃいねー。まだ、ネネちゃんたちのほうが大きい。」 「…む、む、むー!子どもって言うなー!神ちゃまだぞー!」  神様は、自分を子ども扱いする3人に怒り、かん高い声でさらに威嚇し、 「ちっちゃいからって馬鹿にするなー!もー怒った!やってやるー!」 「!?う、うああぁあッ!」 「ツ、ツヨシ君ッ!!」  神様が腕を振り上げた瞬間、泉の水が突然むくむくと盛り上がり、人の腕の形になったかと思うと、 その腕はツヨシ君を掴んで持ち上げてしまいます。 「どーだ!神ちゃまなんだぞー!えらいんだぞー!子どもじゃないんだぞー!」 「うぅ、くくく…くぅ。」 「コメットさん!どうしよう、このままじゃツヨシ君が…!」 「分かってる、いくよ!呪文省略、エトワール!」  コメットさんはバトンを振って変身すると、神様にバトンの先を向けて、 「…子ども扱いしたことは謝ります。けど、ツヨシ君を離してください!」 「…むむ、お前、人間のくせに神ちゃまにはむかうかー!てぇぇえぃ!」  神様はまたもや泉の水を盛り上げて腕の形に変え、二人を襲います。 「うあぁ、コメットさん、危ないッ!」 「大丈夫、任せて!…えいッ!」  まさに今、水の腕がコメットさん達に襲いかかろとうとした瞬間、彼女は星力で掃除機のような機械を作り出し、 神様の出した水の腕を吸いとってしまいました。 「…よしッ、狙い通り!」 「む、むむー!こしゃくなー!でも、まだまだァ」   「コメットさん!またくるよー!」 「そうはさせない!吐き出しボタン、ON!いっけー!」 「……む、む、むがー!!!」  水の腕を吸引されてもなお、またもや残った泉の水でそれを作り出して襲いくる神様に、 コメットさんは、作り出した掃除機に備え付けられている吐き出しボタンを押して、中の水を神様に向かって排出しました。 神様は水流の勢いで、泉の奥の木々に叩きつけられ、ツヨシ君を捕えていた水の腕は消え、解放されました。 「ツヨシ君、大丈夫!?」 「う、うん。平気。でも、びしょびしょ〜。」 「あはは、びっしょびしょー。」 「わらうなッ!」  二人は、その場に倒れこんだツヨシくんの側により、無事を確認しました。 それと同時に、水をぶつけられて木にぶつかっていた神様も、ゆっくりと体を起こします。 「くぅぅ…!よくも、よくもやってくれたなあ!…えぐっ。 ただの人のくせに、神ちゃまに向かってぇ…ぐすっ。」 「……。」  神様はぶつかった木々からゆっくりと体を起こし、彼女達への怒りをあらわにしたつもり…でしたが、 涙をこらえ、鼻頭を真っ赤にして、鼻声でしゃべっていたため、それは『泣きながら捨て台詞を吐いている』ようにしか見えませんでした。 「…神様、泣いてるの?」 「なっ、泣いてないもん!泉の水が顔についただけだもん!神ちゃま、子どもじゃないもん!泣かないもん!」 「嘘だぁ、絶対泣いてるよ、神様はー。」 「む、むぐぐ…うるさい、うるさい、うるちゃーい!…ひぐっ。」 「(…この子、ちょっと可愛いかも。)えっと、あの、神様?…とにかく、わたしたちの話を聞いてください!」 「ぼくたち、神様にいたずらするために来たんじゃないんだよ。」 「そーそー。ネネちゃんたち、この辺りがすごーく汚かったから、みんなでお掃除したんだよ。」  戦う意思がなくなったようなので、三人は泉の神様に事情を説明しました。 「おそうじ?う、嘘だ!人間がそんなことするわけない!いつもゴミ捨てて帰るだけの人間に!嘘つき、嘘つき!」  神様は自分の腕をぱたぱたさせて、自身の人間に対する怒りをアピールしますが、 その愛らしい外見でそんなことをやられても、あまり怒りは伝わらず、逆に、 (可愛い…。) (かぁいい〜…。) (むぅ〜、なんか、生意気!ツヨシくんの方がかわいいもん。)  …と、彼女達の母性本能をいたずらに刺激するだけでした。一人だけ別の感情がわきあがっているようですが。 「怒らないで!落ち着いて、ちゃんと周りを見て。」 「まわり…?まわり………あ。」  神様はコメットさんに言われ、辺りを見回しました。 神様はここでようやく、自身の住む泉の周りが綺麗になっていることに気が付きました。 「(きれいに、なってる…。それに、今思い出したけど、 神ちゃまの力、水がきれいじゃなきゃ使えないんだった。これって…。)ほんとに…、お前たちが、これを?」 「もちろん!すごいでしょ!」 「うそはダメだよ、ツヨシ君。やったのは全部コメットさん。」 「……。」  三人の話を聞いた神様は、目をつぶり、腕組みをして暫く考え込むと、にっこりと笑って言いました。 「…そーか、そーか!えっと、その。おまえたちの…コーヒーなるふるまい? …に、神ちゃまは敬意をあらわす。人間にしては、よくやった。」 (ねぇ、これって、ほめられてるの?ばかにされてるの?) (誉められてるんだよ。ただ、あんまり言葉を知らないんだね。この神様。) (本当は『高貴なる振る舞い』って言いたかったんだろうね。) (すごいねネネちゃん。そんな言葉、どこで覚えたの?) (えっへん。もっとほめてー。)  神様は、微妙におかしな言葉だけれど、一応、泉の周りを綺麗にしてくれたコメットさんたちを褒めているのですが、 聞いている彼女たちは、その変わり身の早さを怪しんでひそひそ話しをしています。 「こらー!神ちゃまを無視するなー!」 その2に続く
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