第一章

戦え僕らのコメットさん★ 第一章 〜逃亡という名の鬼ゴッコ〜


21:09 タンバリン星国 軍事施設内
…施設内エリアB付近に侵入者を確認。敵は施設を南に向かって進行中… 隊員は通常の対応でこれを迎撃、敵の機密エリア侵入を阻止せよ。繰り返す、これは訓練では無い、繰り返す…」 「フハハ!口程にもないワイ!さて、見せてもらおうか…プロフェッサー・エクセルの作った軍の最高機密兵器とやらをなッ!」
唐突な展開で話が見えないので、少し時間を戻してから話を始めます。 それはタンバリン星国侍従長・ヘンゲリーノが、王立図書館のある清掃作業を行っているときでした。 …最も、彼が自主的に行ったわけではなく、 以前ハモニカ星国とカスタネット星国の姫様を無理矢理タンバリン星国の皇子と結婚させようとした 一件の罰…とでも言ったところでしょうか。 しかも自分はほとんど仕事をせず、近くに居た衛兵に大体の作業を押し付けているようです。 「作業が遅い! もっと早くやらんかこのバカ者!」 「す、すみません! …なにしろこの量ですので、少し私一人では難しいので」 「何じゃ!このワシの発言に意見する気か!?」 「いえっ!自分ひとりでやらせていただくであります!」 「まったく。このワシを何だと思っておるんじゃ…む?」 その仕事を兵士に任せてサボっていたヘンゲリーノは、 整理中に偶然兵士が落とした「プロフェッサー・エクセルの日記」と言う本を読み始めました。 その本には随分と年季が入っており1ページしか読めませんでしたが驚くべき内容がつづられていたのです。 「…おりじなるノでーたを元ニ遂ニ完璧ナ『でぃーぷ』ヲ完成サセタ。記憶のコントロールモ完璧ダ。 後世ニ望ム者アラバアレヲ目覚メサセヨ、世界ニ…」 「ここで途切れておるな… それにずいぶんと汚い字じゃ。 はっ!そんなもんあるわけが…」 「おや?そんな本に興味をお持ちで?」 「む…?さっきその辺に落ちてあったのでな。じゃがバカバカしい本じゃなぁ、そんな物騒なモンがあるわけが…」 「あぁ〜…。そういえばその本の作者、昔何かすごい事やってたみたいですよ。 でもなんか色々言っちゃいけない事があるみたいで所載は伏せられてて、 一般閲覧禁止の場所に詳しい文献が置いてあると聞きましたが…」 「なんじゃと!?(と、言うことはあながちウソでもなさそうじゃな…。 信じる気にはなれんが、とりあえず観てみようかのう) …おい!侍従長の権限でワシをその部屋に入らせるんじゃ!」 「ちょ、ちょっと!やめてください!上官に怒られるの私なんですから!」 「うるさいわ!責任はワシがとってやる!」 ヘンゲリーノは侍従長の権限で閲覧禁止の場所で調べ始めました。 数時間ほど調べた結果、恐ろしい事実が判明したのです… 「なになに… …!?『トライアングル星雲軌道上にあった巨大研究施設スペースコロニー上で 数々の研究成果をだしたが、その影で危険な生物の生成を行ったとして 軍を派遣し処刑した』とな!?その上その『最終兵器』は二体いて、 片方はタンバリン星国軍が保管している…とな!? フフ、ふふふ…はぁーっはっはっは!」 「…侍従長、どうかなされたのですか?」 「おぉ、おったのか。…まぁそれはそれで良い。 すまぬがワシは訳あって一旦自分の家に戻らせてもらう。」 「は、はぁ…それはまぁ、いいですけど…。」 (…コイツは確かに危険な代物じゃ! しかし、コイツを上手く扱えばこの星国はワシの思い通りになるではないか! フフフ、ようやく『アレ』を動かす時が来たようじゃなぁ…。) …最初はただこんな窮屈な仕事から抜け出したいだけだった。 ただでさえ以前の政略結婚の件で処罰され、いつ侍従長という職をやめさせられるかどうかが不安だったのだ。 そしてワシは軍の基地に潜入し、機密兵器を奪い取ろうとしている。もう後には戻れない。そのことに対する罪の意識はまったくない。 ワシはそう思いながら基地内を進んでいた…
「はっはっは!このワシの二足歩行メカ「剛力一号」に敵うものなどおらんわ! どけどけ雑魚どもぉ!…っと、ここが保管庫じゃな…ユーザーデータを登録後、パスワードを入力、 パスワードは確か…、E・X・C・E・Lっと…。 最後に莫大なエネルギーを生み出す奇跡の宝石、エネルギーオーブをセット、か。 ちと説明くさいのう…」 少し鈍い音を発しながら装置は作動しました。 装置は少しずつせり上がり、タンクから「何か」が顔を出しました…。 「ほほう… ん!? なっ…」 しかしそのタンクの中から顔を出した「何か」は… 「なッ!?あ、あなたはハモニカ星国のコメット王女!?なぜこんな所に!いや…、まさかコイツが…兵器!?」 「………。」 「…ん?もしもーし!おい、お前!ワシの声が聞こえるか?聞こえたら…。」 タンクの中から顔を出したコメットさんそっくりの少女は、予想外の展開に慌てるヘンゲリーノに向かってこう言いました。 「…私の名はディープ。私を目覚めさせてくれたお礼に、貴方の願い、叶えて差し上げましょう。」 「…!?」 不意をつかれたヘンゲリーノは何が何だかわかりません。すると突然二足の重装備ロボットが目の前に現れました。 「…こちらタンバリン星国王族新鋭部隊 HOT SHOT。侵入者を確認、強制排除に移る。」 「ええい、こんな時に!」 「軍のゴミ…か。そういえば…、そこのあなた。まだ私の力に疑問をお持ちのようですね。無理もない。 いいでしょう。我が力、とくとご覧あれ…。」 「なッ、おい待たんか!相手は強力なガードロボットじゃぞ! ワシならいいとしても、小さな女の子のお前が」 「…向かってきますッ!」 「やむをえん!早く始末しろ!」  ガードロボはディープに向かってマシンガンのようなものを四方八方に撃ちまくりました。 しかし、ディープはそれを全て避け、ガードロボのコクピットの上に乗っかります。 「…… ザコが……。」 「なッ!う、上に…うわぁあああああ!!」 10秒、いや7秒ぐらいでしょうか。ヘンゲリーノが忠告する前にガードロボットは、 ディープがバトンを振り下ろした瞬間、まばゆい光と共にドロドロに熔けたスクラップへと形を変えていました…。 「HOT SHOT…!?どうした! 応答しろッ! HOT SHOT…。」 「!?…あのガードロボットを易々と…。お前が本当に日記に知るされていたあの『破壊兵器』なのか!?」 「『ニッキ』…? なるほど、あれを読んだわけですか。 …ならば話は早い。アナタの目的を達成したくば…残りのエネルギーオーブと共に、スペースコロニーへ。 私は中央制御室でお待ちしています。それでは…。」  それだけ言うと、ディープはいずこへと去ってしまいました。 「!?待て!待たんか!」
…これが後にコメットさん達を巻き込み、 星雲消滅の危機に追い込む、壮大な物語の幕開けだったのです。
08:25 ハモニカ星国城内
地球での王子様探しに終わりを告げ、星国での暮らしに戻ったコメットさん。今日は自分の部屋でゴロゴロしていました。 自分の身に、あんな事が起こるとも知らずに……。 「ふぁ〜…帰ってきてから退屈〜。なんか面白いこと無いかな〜。」 「ひぃ〜めぇ〜さぁ〜まぁ!!!!! 大変だボ、大変だボーっ!!!!!!」  コメットさんが自分の部屋でダラダラしていると、ラバボーが血相変えて部屋に乗り込んで来ました。 「ひっ、姫様!テレ、テレビ!早く、早くッ!」 「どうしたの?そんなに慌てて…。まあ見ろっていうなら見るケド…。」 「…昨夜、カスタネット星国国営銀行が何者かに襲われ、 保管されていた宝石エネルギーオーブが盗まれる事件が発生しました。」 「コレが何?…単なるニュースじゃない? にしてもこの星国にもこんな悪い人がいるんだねー。」 「続きっ、続きがあるんだボ!」 「…目撃者の情報によると、犯人はハモニカ星国王女、 ”ラ・コメット・ハモニカ”であると推測されています。犯人は軍のガードロボットを破壊し、現在も逃亡を続けています…。」 「…えええええっ〜〜〜!!!???あ、ああああああぁ〜……!」 「姫様!?姫様しっかり!!」  しかし時はもう既に遅かったようで…。 コメットさんの部屋の中に地球で言う…警察ビトが入ってきました。 「コメット王女!疑いたくはないのですが署までご同行願います! そこのラバーボール!お前もだ!」   「えぇ!?えええええーっ!?」 二人は、なすすべもなく連行されていってしまいました。
・・・現在当機はハモニカ星国上空を通過中、機体、行路共に以上無し。 逮捕した王女の様子はどうだ!? 特に異常は見受けられません…アッ! ど、どうした!? 大変です!乗っていたクルーが全員やられています、 「ぺっ、口ほどにも無いボ! さっ姫様!早く逃げるボ!」 「なんかキャラ変わったね… ってあああっ!」 そ…、それに、あっ!バランスを崩して落下しました! 何をやっておるのだバカ者! 早くお助けしろ! てゆうかにげられるだろうが! は、はい!ただ今ッ…! 「きゃああああっ!!」 「ぬ、ぬぉおおおおおお!!!」 間一髪、ラバボーが大きく膨らんだおかげでコメットさんはなんとか無事でした。 「姫様!大丈夫かボ!?」 「うん、なんとかね…」 どうやら落ちた場所は木の上だったので無事でした。 とりあえず無事だったコメットさんは、何故こうなったのかを少し考えます。 「(でも、なんで私が軍に追われているんだろう!?)…ねぇ?ラバボーは信じてくれるよね。わたしは強盗なんかしてないって!」 「もちろんだボ!ボーの姫様が強盗なんて!」 「…国内警備中の全車両に継ぐ。逃亡者がこの付近に墜落した。……道路を完全に封鎖し、逃亡者を捕獲せよ。」 「うそ!?わたし逃亡者あつかい!? に、逃げなきゃ!逃げなきゃっ!」
8:45 タンバリン星国宮殿内
「ハァ、ハァ…観念しろこのコソ泥!」 「うぐッ…!」 「いいか!そのマスターオーブにはエネルギーオーブの暴走を止める重要な役目があって…」  タンバリン星国の王家の大切な宝、マスターオーブ。それを盗む不届き者が現れたので、 衛兵たちが捕まえている最中でした。  すると、その騒ぎを聞きつけたのか、あの人物がそこにやってきます…。 「…どうした?宮殿内で何やってる。」 「あぁ…殿下でございますか。実は、この『マスターオーブ』を狙う泥棒が現れまして…。」 「『ますたーおーぶ』?なんだよそれは…。」 「あぁ、それはですね…。」 と、そこまで泥棒そっちのけで話を進めていた最中に、突然宮殿のガラスを割って、意外な人物が進入してしてきたのです。 「…オーブの反応があるから来てみれば、これはマスターオーブではないか!」 「な、何だ…何だッ!?」 「あ、あなたは…ヘンゲリーノ侍従長!?」 「むむ…おぉこれはこれは。殿下ではございませぬか。ワシも少々興奮しておりましてな。 窓ガラスを割ってしまって申し訳ない。」 「そんな事はどうでもいい!お前…何やってんだ! それ…この国にとって大切な宝なんだろ!?」 「ヘンゲリーノ侍従長!何故こんな事をするのですか!」 「(まぁなんかの足しにはなるじゃろ)…あなた方には関係のないことですじゃ。 とりあえずこれはワシがいただいていきますぞ、ホーッホッホ!」 「お、おい!…待ちやがれ!」 「(こ、このままでは…!)うりゃあああ…!」 そういうと衛兵はバトンを振って星力を当て、オーブを粉々に砕いてしまいました 砕け散ったオーブのカケラは東西南北に飛び去ってしまいました。 「ぬォッ!何をするのですっ!」 「何ぃぃぃ!?お、お前何やってるんだよ!これ大事な宝なんじゃ…!」 「大丈夫、カケラを集めればまた元に戻るのですから!今あの男に盗られるよりましでございましょう!」 「そ、それはそうだが………。」 「…!まあいい、一度基地に戻って調べなおしとするか…」 「待てッ、何を企んでいる!?…行っちまった…。」 「でも…、なんでアイツがオーブなんかを…? では殿下。私はあの砕け散ったオーブのカケラを探しに行ってまいります。」 「あ…ちょっと待ってくれ。俺も行くよ。」 「…何故です?これは私がやってしまったことです。あなた様にはあまり関係のないこと。」 「いや、ちょっとな…。ここにいてもつまらない、ってのもあるし…。」 「…そうですか。」 …それでは話をコメットさん側に戻してみましょう。 「ふぅ〜、まだなんとか見つからないでやりすごせているけど、 いい加減街を出ないとな…。何されるか分かったもんじゃないし…ん!?」  と、コメットさんがぶつぶつ話していると、突然上の方から風が来るのを感じました。 そしてそれと同時に黒い影が上から降りてくるのも見えます…。 「…ハモニカ星国新鋭部隊 BIG FOOTより指令本部へ。手配中の逃亡者を発見。捕獲作戦を実行する。」 「!!あれは…!」 「何!?知ってんの!?」 「あれは近年治安の悪化の為にハモニカ星国軍が開発したロボットだボ!」 「なんでそんなものが私を追ってるくるのー!?こ、こーなったら… 呪文省略エトワー…」  コメットさんはティンクルドレスに身を包もうとしましたが…。 「ストップだボひめさま!今素でティンクルドレス着てるから呪文なんて必用ないボ!」 「あ、そっかー つい習慣で・・ ってき、来たぁー!!」 「ひめさま!とりあえずここは逃げるんだボぉー!」 「えぇ〜っ!もう逃げるの疲れたよぉ…。」 「殺すな、捕獲しろ!」 「了解」 「うわぁ〜ん、もー疲れたぁ…。どーしょぉ…!!」 「姫様!べそかいてるヒマは無いボ!」 「だってぇ、だってぇ〜〜…あんなんどーしろっていうの!?」 「こーなったらコクピットの人に星力ぶつけて無理矢理機能停止させるんだボ!」 「い、イキナリ言われても・・」 「じゃあどーするんだボ!?」 「わ、わかった!わかりましたよう!え、えぇーい! あ、当たれぇ!!わ、わわわっ!」  そういうとコメットさんは星力をバトンの先に集め、コクピット狙って発射しました。 すると、手元が狂ったのか、コクピットではなく足の部分にヒットしました。 「何やってるんだボ!?あれじゃあ」 「お、怒んないでよラバボー!しょうがないでしょ、初めてなんだから ん…?」 「ど、どーした!」 「こちらBIG FOOT… 足のアクチュエーター部分を破壊されました!コントロール出来ません! あ、あああああ!!」  なんと、コメットさんが適当に撃った星力弾で、ガードロボの足の何か大切な部分を壊れてしまったのか、 ガードロボはよろよろと地上に墜落してしまいました。 ドッカァーァァァン・・・・ 「し、至急応援を…た、の、む……。」 ガクッ 「あ………っ」 「やった…!やったボ姫様!」 「はは、は、はぁ…」  逃げ回って疲れたのか、コメットさんはその場に座り込んでしまいました。 しかし…、 「…ずいぶんと面白い戦い方をするのね。…あれは何?演出かしら?」  突然何かの建物の上から誰かがコメットさんに声をかけてきました。 「え…(なっ、あれは…。わ、わたし…?)」 「髪の毛の色以外はなんかもうひめさまそっくりだボ! まぁ、なんかこう…左右対称な気がするけど。」 「…まぁどうでもいいか。とりあえずこっちのほうが手に入ったから…。 これで二つ、無限の力を生み出す奇跡の石…。」 「…そうか、分かったボ!」 「?どうかしたのラバボー。」 「どうかしたじゃないボ!多分…ひめさまは あのひめさま似の人の代わりに軍から追われているんだボ! 「…ってことは、まさか…。」 「多分あの人が犯人だボ!…ちょっとあんた!ボー達がどんだけ苦労したか、分かってるのかボ!?」 「うるさい生き物。邪魔…。」 その瞬間、ディープは目にも見えないスピードでラバボーの後ろに周りバトンを振りました。 ラバボーは鈍い音と共に20mぐらい吹き飛ばされました。 「ら、ラバボー…? ラバボーッ!?し、しっかりしてッ!!」 「う、うげげげ…っ。」 「よかった…。なんとか大丈夫みたい…。」 「私の名はディープ…。この星雲唯一にして究極の存在。今は先を急ぐから、遊びは終わりよ! オーブ・ディストラクション!」 …と叫んだ瞬間、激しい光が発生し、コメットさんはおもわず立ちすくんでしまいました。 またまぶしい光がディープを包み、ディープはどこかに消え去っていました。 (あの人は、一体…?) 「う、うぅう…。」 「あ、ラバボー!大丈夫!?怪我は…。」 「だ、大丈夫だボ…。ちょっと痛いけど。」 「よ、よかったぁ…。」  ラバボーの無事を確認し、少し安心するコメットさん。しかし…。   「…そのまま両手を挙げて大人しくしろ!」 「…前言撤回。全然…よくなぁあああいいっ!!」
イマジンカイザーの一言
これまた、メテ☆スマさんのところで書いた作品です。 でも、そのときは掲示板に書いたたやつだったので、完成度が低かったと自分で判断したので、すぐに書き直すことを決意しました。 でも書き直したら、まったく別の話になった気がしないでもないのですが…。 それでは次回もキラッとお楽しみ☆<笑
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