ここは鎌倉の由比ヶ浜――――――
すでに夕暮れ時・・・よい子は帰る時間なのですが、そこにツヨシくんとネネちゃんはいました。
ネネ「なかなかみつかんないよー」
ツヨシ「あきらめるなネネちゃん、めずらしいかたちのものじゃないとうりものにはならない」
どうやら何かを探しているようです。
ネネ「そうつごうよく・・・・・・ねえツヨシくーん!」
ツヨシ「どうした?」
ネネ「これ、これなんかどう?」
ネネちゃんが何かを見つけツヨシくんを呼びます。その何かとは貝でした。
ネネちゃんが手に取っているのは巻貝、色は黒く砂金が反射してキラキラしています。しかし・・・
ツヨシ「・・・・・・ダメだ、ちょっとだけかけちゃってる、それじゃうりものにならない」
ネネ「えぇ〜〜・・・」
ツヨシくんはネネちゃんの拾ってみせた貝を見るやいなや、すぐネネちゃんに突っ返してしまいました。
ネネちゃんはブスッとした顔でしぶしぶ作業に戻りました。
それから約30分後・・・日が沈みきった頃、コメットさんが空中から星のトンネルを通って現れました。
ツヨシ・ネネ「コメットさん!」
コメット「もうこんなに暗いのに二人ともどうしたの?パパさんもママさんも心配してるよ。早く帰ろう」
ツヨシ「うん・・・きょうはしょうがないか・・・ネネちゃん」
ネネ「そうだね・・・またあしたに・・・あ!」
ネネちゃんは暗い浜の上に光るものを見つけました。
ネネちゃんはそれに向かって走っていきました。
ネネ「ツヨシくん!これどう?これ!」
ツヨシ「え?」
ネネちゃんに呼ばれツヨシくんもそこに走っていきます。
ツヨシ「うわーきれいな貝・・・これならおっけーだよ」
ネネ「やったーネネちゃんがみつけたー!」
コメット「どうしたの?」
ツヨシ「コメットさんはやくかえろう!」
ネネ「パパとママにおこられちゃう!」
コメット「う、うん・・・・・・?」
時すでに遅し、日が沈んでも帰らなかった2人はママさんにこっぴどく怒られました。
しかし、怒られていても二人の顔は沈んではいませんでした。
次の日・・・保育園はお休みでした。
しかしこの日はツヨシくんとネネちゃんは外で遊ぼうとはせず、家の自分達の部屋にこもっていました。
何かの作業をしていたからです。その作業とは・・・。
ツヨシ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ネネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人とも体中に汗を流しながら一切喋りません。
どうやら昨日拾った貝に紐を通す穴を開けようと神経を集中しているようです。
ツヨシくんは床に手を置き、右手に沙也加ママの裁縫道具から持ち出した待ち針を持ち、左手に貝を持って穴を空けようとしています。
ネネちゃんはツヨシくんの正面からそれを見守っています。
ツヨシ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ネネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ツヨシ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷはあっ!ダメ、こわいよ」
ネネ「あああ〜みているほうもドキドキするよ・・・それしっぱいしたらもうそれいじょういい貝さがせないもんね」
ツヨシ「それがぷれっしゃーだよう・・・」
二人とも汗だくになってあおむけになります。そこで沙也加ママが部屋に入ってきました。
ツヨシ・ネネ「マ、ママ!」
二人は驚き、反応で体を起こし、貝と針を隠しました。
沙也加「あなたたち今日はずいぶんおとなしいのね。どうしたの?」
ツヨシ「ちょ、ちょっとね・・・」
ネネ「そうそう、あの・・・しゅくだいってやつ?」
沙也加「へ〜えらいわね私たちに言われなくてもできるなんて、さすが私の子ね。じゃあがんばってね」
沙也加ママはそういうと部屋の障子を閉めて一階に降りて行きました。
しかし降りていく途中
沙也加「(保育園に宿題なんてあったかしら・・・?)」
などと考えていました・・・。
ツヨシ「びっくりした・・・」
ネネ「うん・・・ん?ツ、ツヨシくん!」
ツヨシ「え?」
ネネ「ゆび!ゆび!!」
ネネちゃんに指を見るように言われツヨシくんは指を見ました。
するとえらいことにツヨシくんの左手人指し指に待ち針が突き刺さっていたのです。
ツヨシくんの指からはダラダラと血が流れています。
ツヨシ「う、うわああーーーー!!いたいよーーーー!!!」
ネネ「うわああーーーー!!ツヨシくんのゆびがーーーママーママー来てよーー!!」
指に刺さった針に気づいたツヨシくんは痛みで泣き叫びました。
ネネちゃんは、すぐさま部屋を飛び出し、沙也加ママを大声で呼びました。
沙也加「どうしたのネネ・・・きゃああああツヨシ!!」
大事には至りませんでしたが、勝手に針なんて危険なものを持ち出したことで、今日も二人ともママにこっぴどく怒られてしまいました。
素直に反省する二人、しかしあきらめてはいません。夜、自分達の部屋で談義を続けます。
ツヨシ「はりとりあげられちゃった・・・どうやってあなあけようか・・・」
ネネ「う〜ん・・・」
二人は針以外で貝に穴を空ける方法を考えてました。
その時、障子をノックする音が聞こえました。
ツヨシ「はーい、ネネちゃん!」
ネネ「うん!」
ツヨシくんは返事をし、入っていい事をノックをした本人に伝えます。
そして小声でネネちゃんに合図し、貝を隠させました。
景太郎「おじゃまするよー」
障子を開けて中に入ってきたのは景太郎パパでした。
ネネ「どうしたのパパ?」
ツヨシ「もうおこごとはママにじゅうぶん・・・」
景太郎「いや違うよ、ちょっと教えて欲しいことがあってね・・・いいかな?」
景太郎パパはなにやら質問があるようでした。
二人は問いに対し、声は出さずうなずきました。
景太郎「さっきのママのお小言を黙って聞いてたんだけど・・・二人ともなんで針を持ち出したんだ?と思って。
二人ともその事をママに聞かれても断固として言わなかったから・・・・・・パパになら言えるんじゃないか?って」
そう、景太郎パパは沙也加ママが二人を叱っている場面にいたのです。
しかし、景太郎パパは黙してその様子を見ていたのです。
割って入っても「パパは黙ってて」と沙也加ママにあしらわれるのがわかっていたからでしょう・・・。
ツヨシくんとネネちゃんは正直に答えました。
ツヨシ「これ・・・これにあなをあけたくて・・・」
景太郎「お、きれいな貝だな、なんで穴なんか?」
ネネ「このひもをとおしてくびかざりをつくりたいの」
景太郎「首飾りかぁ、誰かにプレゼントするのかい?」
ツヨシ「ママなんだけど・・・」
景太郎「ママ?母の日はとっくに終わってるし・・・ママの誕生日はまだまだ先だぞ?」
ネネ「ママのおみせっていったほうがいいかな?・・・ママのおみせにおけたらっておもって」
景太郎「店に?なんで?」
ツヨシ「ママさいきん、みせのことでなやんでるみたいでさ・・・きょうもきゃくがほとんどこなかったわーとか・・・」
ネネ「わたしってしょうばいのさいのうないのかなーとか・・・」
景太郎「・・・・・・」
ツヨシ「ぼくたちママもあのみせもだいすきだから・・・もしおきゃくさんがこなくなっておみせがなくなったりしたら・・・すごくかなしいから・・・」
ネネ「すこしでもなにかてつだえないかなっておもって・・・でも貝にあなを・・・あけることも・・・」
景太郎「・・・・・・・・・」
話していくうちにどんどん涙声になっていくツヨシくんとネネちゃん。するといきなり
景太郎「ぬふぅ」
景太郎パパはおかしな声を上げ立ち上がりました。突然だったので二人はびっくりしました。
ネネ「パパ・・・?」
景太郎「よしここはパパにまかせなさい!」
ツヨシ「え?でもこれは・・・」
景太郎「わかってる、パパは手をださないよ、アドバイスさせてほしいんだ」
ネネ「あどばいす・・・ってなに?」
景太郎「言葉で助ける・・・と言えばいいかな?とりあえず裁縫の針なんかじゃ貝に穴は空けられないよ、もっと硬いものじゃないと」
ツヨシ「はりじゃだめかー・・・」
景太郎「ちょっと待ってなさい」
そういうと景太郎パパは部屋を出ていきました。
ツヨシ「いまのパパのこえきもちわるかったねー」
ネネ「うん、きもちわるかった」
そして数十秒後再び戻ってきました。景太郎パパが手に何かを持っています。
景太郎「これを使うといいよ」
景太郎パパが持っていたのはミニサイズの−ドライバーでした。
景太郎「さすがに貝殻穴空け機なんて都合のいい物はないからね、これでやってみなさい」
ツヨシ「へえ・・・うんわかった」
ツヨシくんは景太郎パパから−ドライバーを受け取り、早速穴あけにかかりました。
ネネ「ツヨシくんいけそう?しっぱいしないでね?」
ツヨシ「わかってる・・・ちょっとだまってて」
景太郎「ツヨシ、もう一つ言っておく・・・思い切っていけ?」
ツヨシ「・・・・・・うん」
ツヨシくんは神経を研ぎ澄ましていますが、貝を持った左手が無意識に震えます。
無理もないでしょう、ツヨシくんはまだ4歳、当然こんな作業の経験はありません。
左人差し指には痛々しい包帯がまかれ、血が滲んでいました。その痛みもあるのでしょう。顔には脂汗が流れています。
ネネちゃんと景太郎パパは黙して、ツヨシくんを見守ります。
約30秒後・・・ツヨシくんは覚悟を決め、息を深く吸い込み、右手に力を込め、思いっきり貝に−ドライバーを刺し込みました。
ピキッ!!
ツヨシ「っ!!」
ツヨシくんの刺し込んだ−ドライバーは貝を貫きました。
しかし、無情にも刺し込んだ部分から下に亀裂が入り、貫いた部分から下が欠け落ちてしまいました。
ツヨシ「あっ・・・かけちゃった・・・」
ネネ「ツヨシくん・・・しっぱい・・・」
あまりのショックに呆然とする二人・・・そこに景太郎パパが救いの声をかけました。
景太郎「二人とも心配するな、こんなこともあろうかと・・・ジャン!」
景太郎パパはまた何かを取り出しました。それはアロンアルファでした。
ツヨシ「なにそれ?」
景太郎「なんでもくっつける魔法の薬だ、これ使えば落ちちゃったところも元通りだ」
ネネ「ホ、ホント!?」
景太郎「だけどこれはなんでもくっつけるだけあって使い方は難しいんだ、だからこれはさすがに君達には・・・」
ネネ「まって!ネネちゃんにやらせて!」
景太郎「ええ?ダメだってこれは」
ネネ「おねがいパパ!これだけはおねがい!」
景太郎「どうしたんだ一体・・・」
ネネ「さっきからずっとみてるだけだから・・・ネネちゃんもなにかやらないと!だってツヨシくんこんなにがんばってるのに・・・」
ツヨシ「ネネちゃん・・・」
景太郎「・・・わかったよ、ただしこればっかりはパパも手を貸すからね、いいね?」
ネネ「うんありがとう」
景太郎「さて、くっつける前にツヨシ、その欠けたところを半分にしよう、そこが穴になる」
ツヨシ「うん」
ツヨシくんは景太郎パパに言われたとおり欠けた部品を半分に割りました。これは難なく成功。
さて次はネネちゃんの番です。
ネネ「きんちょーする・・・」
ツヨシ「がんばれネネちゃん」
ネネ「これがツヨシくんのいうぷれっしゃーか・・・」
景太郎「よしネネ、その欠片を貝のここにぴったりとはめるんだ、奥にはめすぎないようにと、薬をぬったところを触っちゃだめだぞ、いいね?」
ネネ「うんわかった」
景太郎パパがアロンアルファを塗ったところに欠片をはめこむのがネネちゃんの役目です。
左手に貝を、右手の親指の先と人差し指の先で欠片を持ち、慎重に近づけていきます。手が震えます。
しかし、ネネちゃんは震えを押さえ、貝に欠片をくっつけました。完璧な位置です。
景太郎「よし、そのまま動かさずに・・・合図したら離していいぞ」
ネネ「・・・」
今のネネちゃんにはそんな問いに答える余裕もありません。完全にくっつけた部分に集中しています。
そして2分後・・・景太郎パパが合図を出しました。
景太郎「よし、OK!」
ネネちゃんは手を欠片から離しました。離れたと言うことはアロンアルファには触れていません。
景太郎パパがくっついているかどうか欠片をつついて確かめます。
景太郎「うん・・・よしくっついてるぞ、ほらビクともしない」
ツヨシ「ホントだーすごい!」
ネネ「はあぁ〜〜よかった・・・」
ネネちゃんはほっと一息ついてへたりこみます。
ツヨシくんもいっしょにへたれこみました。
ツヨシ「あとはひもをとおすだけだね」
ネネ「でもきょうはさすがにまいった・・・あしたにしない?・・・」
ツヨシ「だね・・・あ、パパ!このことはママには」
景太郎「わかってるって、シー・・・だろ?」
景太郎パパは人差し指を口にあてながら言いました。
ツヨシ「でもさーけっきょくパパにたよっちゃった・・・」
ネネ「わたしたちだけじゃやっぱりむりだったね・・・」
景太郎「なにをいってるんだい、パパは最初言ったとおり手は出してないぞ」
ネネ「でも、くすりとかもってきてくれて」
景太郎「あれはこの子達が言ってくれたんだよ、俺にまかせろってね、パパはこの子達頼んだだけだよ」
ツヨシ「うそ!ものがしゃべるわけないじゃないか」
景太郎「実際にしゃべったわけじゃないさ、でも聞こえた気がしたんだよ、ツヨシとネネを助けてやりたい、だから俺にまかせろって」
ネネ「ネネちゃんにはわかんない・・・」
景太郎「ははは、わかるにはもうちょっと大人にならないとな・・・・・・っていうかさ、パパは協力しちゃダメなのかー?ひょっとして仲間はずれ?悲しいなー」
ツヨシ「ううんううん!そ、そんなことおもってない!」
景太郎「パパだってママの事好きなんだからさーパパも仲間に入れてほしいんだけどなー」
ネネ「そうそうそうだよねー!パパもいっしょだからこそできたんだ!だからなかまはずれだなんて・・・」
景太郎「はははは冗談だよ、冗談、わかってるって」
ツヨシ「なんだよーもう・・・・・・パパ・・・ありがとう」
ネネ「ネネちゃんもありがとう」
景太郎「ん」
ツヨシ「ママも大好きだけど・・・パパもだーい好き!」
ネネ「ネネちゃんもパパだーーい好き!」
ツヨシくんとネネちゃんは景太郎パパにいっせいに抱きつきました。
景太郎「うん・・・さ、もうそろそろ寝なさい、寝る時間すぎてるぞ」
ツヨシ「あ、ほんとだ・・・」
景太郎「あと汗拭いてから寝ないと風邪ひくぞ」
ネネ「うん、わかったーじゃあおやすみなさーい」
ツヨシ「おやすみなさーい、ママにはナイショだからね!」
景太郎「大丈夫だって、じゃおやすみ・・・」
景太郎パパはおやすみの挨拶をして障子を閉めました。
景太郎「ふぅ〜〜〜っ」
・・・そして、自分の仕事部屋に−ドライバーとアロンアルファを戻し、沙也加ママのいる寝室へと戻っていきました。
沙也加「遅かったわね・・・どう?ちゃんと反省してた?」
景太郎「ああ、あれぐらいへこんでたなら大丈夫だよ」
沙也加「そう・・・・・・私もさ反省してるのよね・・・」
景太郎「ん?」
沙也加「だってさ、あの子たちが針を持ち出したのも私が手の届くところに裁縫道具を置いてたのが原因なのよ?」
それなのに私、あの子たちを一方的に叱り付けて・・・」
沙也加ママは自分にも非があることをよそにツヨシくんとネネちゃんを叱りつけたことを悔やんでいるようです。
それに対し、景太郎パパは冷静に返します。
景太郎「あの子達は強いから、いつまでもへこんだままでいないから心配ないよ、僕はぶっちゃけママの方が心配なんだけど」
沙也加「な、何がよ」
景太郎「いや、なんでも・・・さ、寝ようか」
沙也加「ちょ、ちょっと話はまだ終わってない」
景太郎「お先におやすみー」
沙也加「・・・なんなのよ・・・どういうことよそれ・・・」
景太郎パパはおやすみを言うと、さっさと眠りについてしまいました。
沙也加ママは景太郎パパの言った言葉がどういうことなのか理解できないままでした。
次の日の朝・・・沙也加ママはツヨシくんとネネちゃんに謝ろうと心に決めました。
ところがいつもの朝ごはんの時間になってもでてきません。コメットさんもでてきません。
ツヨシくんとネネちゃんはまだ眠っていました。昨日の作業が精神的に応えたのでしょう。コメットさんは・・・多分素です。
このままでは保育園に遅刻するので、沙也加ママは二人の部屋に入り、起こしにいきました。
沙也加「ツヨシー!ネネー!起きなさーーい!!」
沙也加ママの響く声で一瞬で二人は覚醒しました。別の部屋にいるコメットさんも同じでした。
ツヨシ「はっ・・・まさかちこくですかーーーー!っ?」
沙也加「そのとおりよ!はやく着替えなさいー!」
ネネ「はいーーーーーっ!!」
二人は起きてすぐに状況を把握し、急いで着替えます。
そして台所に降り、食パンを加えたまま、
ツヨシ・ネネ「いっふぇひまぁあふ!!」
と叫びダッシュで家を飛び出しました。
沙也加「ふうまったくもう・・・・・・はっ!謝れなかった・・・・・・あああなんでこんな日に限って三人同時に寝坊するかね・・・」
急いで幼稚園に行かせてしまったため謝りそびれてしまった沙也加ママ。
遅れてコメットさんが降りてきました。
コメット「すすすすいませんっ!!また寝坊しちゃって・・・すぐに後を追います!!」
沙也加「え?・・・あ、うんお願いね・・・」
コメット「はい!・・・待ってよーー二人ともーー!!」
コメットさんもダッシュ。二人を追いかけました。
沙也加「しょうがない、帰ってから謝ろう・・・」
沙也加ママはうなだれたまま朝ごはんの片付けをしました。
景太郎パパはまたこっそりと一部始終を見ていました。
景太郎「ヤレヤレ・・・」
その日の午後・・・ツヨシくんとネネちゃんはいつもより早めに家に戻ってきました。
いつもは迎えにいってもらってましたが、なんと今日は二人だけで帰ってきたのです。
ツヨシ・ネネ「ただいまー!」
ただいまと言うや否や駆け足で自分達の部屋に向かうツヨシくんとネネちゃん。
途中の廊下でコメットさんとでくわしました。
コメット「あれえ!?ツヨシくん、ネネちゃん?な、なんで・・・?」
ツヨシ「ごめんなさいコメットさん、きょうはおむかえなしでかえってきちゃった」
コメット「ダ、ダメじゃない!最近は危ないんだよ、ゆうかいとかテレビで・・・」
ネネ「きょうだけはとくべつなの!おねがい!」
コメット「とくべつ?・・・」
ツヨシ「そうだ!コメットさんもきてよ!みせたいものがあるんだ!」
ネネ「あ、いいねツヨシくん!ほら、コメットさん!」
コメット「う、うん」
ツヨシくんとネネちゃんはコメットさんの手を引いて、自分達の部屋に連れていきました。
ツヨシ「ほら、これこれ」
ツヨシくんは自分の机の上に置いてある貝を手に取り、コメットさんに見せました。
コメット「うわあ・・・きれいな貝・・・ん?穴が空いちゃってるけど」
ツヨシ「これ、ぼくがあけたの」
コメット「え?なんで?」
ネネ「ひもをとおしてくびかざりにするの」
コメット「へえ〜なるほど、ママにプレゼントするの?」
ツヨシ「!!コメットさんするどい・・・」
ネネ「なんでわかったの?」
コメット「え!?いや、なんとなくいってみただけなんだけど・・・」
一発で誰にあげるかを当てられて驚くツヨシくんとネネちゃん。
そして、ツヨシくんは少し間を置いた後コメットさんに問いました。
ツヨシ「コメットさん、ママのこと好きだよね?」
コメット「え?それはもちろん好きだよ、優しくてあたたかくて・・・」
ツヨシ「(やさしくてあたたかい??)・・・ふむ」
ネネ「(やさしくてあたたかい??)・・・じゃあもんだいないねツヨシくん」
ツヨシ「だね」
コメット「?」
ツヨシ「コメットさん、この貝に・・・」
ネネ「このひもをとおしてくれない?」
ネネちゃんは自分の机の中から赤い紐を取り出しました。光沢のあるキラキラした紐です。
コメット「わたしに?うん、いいよ」
コメットさんは特に理由も聞かず、二つ返事で引き受けました。
ツヨシ「ありがとう!コメットさん」
ネネ「じゃあはいこれ!(ほんとはネネちゃんのやくだったけど・・・コメットさんなら・・・)」
ネネちゃんはちょっと複雑な気持ちになりながらも、コメットさんに紐を渡しました。
コメット「うん、それにしても・・・ツヨシくんよくこんな穴空けれたね、上手だよ」
ツヨシ「パパのどうぐをかりたんだ」
コメット「へえ、じゃあパパも手伝ってくれたんだ」
ネネ「パパもママのことすきだっていってたから」
コメット「あはは、それはそうだよね・・・・・・ここをつなげてと・・・はいできた!完成!」
ツヨシ・ネネ「はやーい!さすがコメットさん!」
コメット「このぐらいこのわたしにかかればとうぜんったらとうぜんよ〜☆(まあ、通して止め具つなげるだけだし・・・)」
ツヨシ「あはははメテオさんのまねだ〜」
ネネ「あはははけっこうにてる〜」
コメット「えへへ、そう?・・・でも、これぐらいならツヨシくんやネネちゃんでもできたよね?」
ネネ「う〜ん、やったことないからわかんないよ・・・それに・・・コメットさんにやってほしかったんだ」
ツヨシ「うん、ママのこと大好きだもんね?ママのプレゼントつくるのになかまはずれはダメだもん」
コメットさんはツヨシくんとネネちゃんの思いやりにあふれる言葉にちょっとウルッときました。
コメット「そっか・・・ありがとう、手伝わせてくれて・・・ママきっと喜ぶよ、みんなの気持ちが詰まってるんだもんね」
ツヨシ「そうだよね!やったーママよろこぶって!」
ネネ「わーい!」
コメット「(ん?それにしても・・・なんでママさんにプレゼントを?)」
コメットさんの今更な疑問はともかく、ようやく首飾りは完成しました。
その日の夜・・・
沙也加「ただいまー」
沙也加ママはいつもより少し遅れて家に帰ってきました。
景太郎パパが出迎えます。
景太郎「おかえり、今日はおつかれさまだね」
沙也加「やたら長居するお客さんがいてね・・・まいっちゃったわよ・・・さ、遅くなっちゃったから急がなくちゃ!(ツヨシとネネにはご飯の時に謝ろう・・・)」
沙也加ママはちょっと疲れている様子、でも疲れてなんていられません、すぐさま晩ご飯のしたくを始めます。
そこでコメットさんが台所にかけつけました。
コメット「ママさん!待ってましたよ!」
沙也加「あ、コメットさん悪いけど今日も手伝ってくれる?」
コメット「待ってましたから!」
ツヨシくんとネネちゃんは台所をのぞいていました。
ツヨシ「ママかえってきたね」
ネネ「でもまだいそがしそう・・・」
ツヨシ「わたすのはごはんがおわったあとだね」
ネネ「うん」
それから約20分後、早めに晩ご飯が完成しました。沙也加ママは子供部屋にいる2人を台所から呼びます。
沙也加「(いつもより一品少ないけど・・・まぁいっか)ツヨシー!ネネー!ご飯よー!」
景太郎「おお、早いね」
コメット「すごい急いでましたから・・・ついていくのがやっとでした」
景太郎「おつかれ、コメットさん」
まずは居間にいた景太郎パパが入ってきます。
そしてドタバタと音をたてながらツヨシくんとネネちゃんが走ってきました。
ツヨシ・ネネ「ごはんー!」
沙也加「遅くなっちゃったからお腹すいたでしょ?早く座っていただきますしなさい」
沙也加ママはテーブルに料理を並べながら言いました。しかし・・・
ツヨシ「ふじよしけけんぽうだい23じょう!」
ネネ「ごはんはみんなでたべましょう!・・・だよママ」
二人は椅子に座っていただきますの体制をとりスタンバイOKの状態でこう返しました。
いただきますも一緒だという事を促しているのでしょう。
沙也加「あ、そう・・・だったわね」
コメット「さあ、ママさんも」
料理を並び終え、沙也加ママとコメットさんも同時に椅子に座り手を合わせます。
沙也加「それじゃ」
全員「いただきます!!」
全員同時にいただきますをしました。
そしてある程度間をとり沙也加ママは昨日のことを二人に謝ろうとしました。
沙也加「ツヨシ、ネネ、あの〜昨日のことなんd」
ツヨシ「あ、ママ、ごはんおわったあとでちょっとはなしがあるんだけどいいかなあ?」
沙也加「え?・・・うんいいけど・・・今じゃダメなの?」
ネネ「わたしたいものもあるからちゃんとわたしたいの」
沙也加「あ・・・そう・・・(わたしたいもの?っていうかまた謝るタイミング逃した・・・)」
景太郎「(オイオイ・・・・・・)」
コメット「(ツヨシくん、ネネちゃん渡す気だね・・・)」
哀れ、沙也加ママはまた謝るタイミングを逃しました。さらに
ツヨシ「ごちそうさま!」
ネネ「ネネちゃんもごちそうさま!」
コメット「えっ!早いね二人とも」
二人のごちそうさまが予想以上に早く(一品少ないせいでしょうか)ツヨシくんとネネちゃんは居間の方へと走っていってしまいました。
結局晩ご飯中にはタイミングが見つかりませんでした・・・。
沙也加「(ああ・・・なにやってんの私・・・)」
いつまでも言い出せないことに自己嫌悪する沙也加ママ。
そのうち、3人も晩ご飯を食べ終わり、沙也加ママは後片付けにかかろうとテーブルに散らばっている食器を手にとりました。
そこでコメットさんが椅子から立ち上がりながら言いました。
コメット「ママさん、今日は私が片付けますよ、ツヨシくんとネネちゃんとおはなししてきてください」
沙也加「え?・・・いいのよそんな気を遣わなくて、それに一人じゃもう遅いし時間かかっちゃうわ」
そこに景太郎パパが勢いのある声で割って入ります。
景太郎「大丈夫だよ僕も手伝うから、行ってきなママ」
コメット「(パパさんありがとう)」
沙也加「そう?・・・じゃあ悪いけど・・・お願いね」
沙也加ママは申し訳ないという顔をしながら後片付けを二人に頼みツヨシくんとネネちゃんが待つ居間に早歩きでいきました。
その姿を見届けた景太郎パパはコメットさんにウインクをしました。コメットさんは笑顔でうなずきました。
景太郎「さて、やるかね」
コメット「はい!」
沙也加ママは居間に入りました。ツヨシくんとネネちゃんはソファーに座ってテレビを観ていました。
ツヨシ「あ、ママもういいの?」
沙也加「うん、それでお話ってなに?わたしたいものっていってたけど・・・」
ネネ「これこれ!」
ツヨシくんとネネちゃんはソファーを降り、沙也加ママに歩み寄りました。
そしてネネちゃんが首飾りを沙也加ママの胸元に差し出しました。
沙也加ママはかがんで顔を近づけます。
沙也加「これは貝・・・ひょっとして首飾り?(きれい・・・)」
ツヨシ「そう!ぼくたちがつくったんだ!」
沙也加「えっ!これを!」
ネネ「そう!それでね?プレゼント!」
沙也加「な、なんで?私、今日は誕生日でもなんでもないわよ?」
ツヨシ「ちがうちがう、おみせへのプレゼントだよ」
沙也加「へ?」
ネネ「そう、こんなきれいなのおいたらさーきっとおきゃくさんよろこんできてくれるよー」
沙也加「あ・・・はは・・・そういうことか・・・」
自分の経営する店を4歳の子供に心配されるとは思ってもいなかった沙也加ママ。
ますます自分が情けなく感じるとともに、なにかわけのわからないいらつきを感じました。
そして二人にこんなこと言いました。
沙也加「それはあなたたちの宝物にしなさい」
その一言はどこかトゲのあるような声でした。
ツヨシくんとネネちゃんはその信じられない言葉に絶句しました。
ツヨシ「え・・・?」
ネネ「ママ?」
沙也加「それとってもきれいだもん。しかもあなたたちの手作りでしょ?がんばった証拠じゃない
それに・・・あなたたちが心配するほどのことじゃないわよ、うちの店は、だからそれはあなたたちが大切にしなさいね?」
ツヨシ・ネネ「!!・・・・・・」
ツヨシくんとネネちゃんは相当なショックを受けました。
自分達がまだ子供だからという理由で母の店への手伝いを拒否されたのです・・・ショックを受けるには充分すぎる一言でした。
あくまで気にしないでと軽く言ったつもりの沙也加ママ・・・自分の言った事の重大さがまだわかっていませんでした。
ネネ「う・・・」
ショックでネネちゃんが泣き叫びそうな瞬間、それを遮りツヨシくんは言いました。
ツヨシ「・・・うん、ぼくらがんばったからね、ぼくたちのたからものに・・・するよ」
ツヨシくんは涙ぐんだ声がばれないように沙也加ママに言いました。全然元気のない小さな声でした。
そのかつてない調子の返事を聞き、沙也加ママは焦ります。
沙也加「あ・・・ツヨシ、ネネ?」
ツヨシ「ぼくたちのはなしはおわり、ネネちゃん、へやにいこう!」
ネネ「・・・うん!」
ツヨシくんは直前の言葉とは180度違う元気な声でネネちゃんに問いました。
ネネちゃんはツヨシくんの考えを察し、こちらも元気な声で返事を返しました。
そして自分達の部屋に走って行ってしまいました。
沙也加ママは何も言えず立ち尽くしています・・・。
沙也加「・・・(私・・・なんかすごく悪いことを言ったんじゃ・・・)
気づくのが遅かったようです。謝るのさえも・・・。
この直後、後片付けをしていた景太郎パパとコメットさんが居間に入ってきました。
景太郎「マ〜マ」
沙也加「あら、パパ、コメットさんごめんなさいね、後片付けさせちゃって、まだ終わってないでしょ?あとは私がやるわ」
コメット「ママさ〜ん、ツヨシくんとネネちゃんから何かもらいませんでした〜?」
コメットさんはしらじらしく沙也加ママに聞きました。
沙也加「ん・・・首飾りをくれたわ」
コメット「どうです!きれいだったでしょう?」
沙也加「うんきれいだった」
コメット「そうでしょう!・・・え?だった・・・ってなんです?」
沙也加「私、もらわなかったの」
その沙也加ママの一言に二人は驚きました。
景太郎「え?」
コメット「な・・・なんでですか!?」
沙也加「あの子達あれを作ったんでしょう?私の店が心配でって。別に潰れかけてるわけでもないのに・・・
それじゃもったいないからあの子達の宝物にしておいてあげようと思って・・・」
コメット「そ、そんな・・・もったいないだなんて・・・ツヨシくんとネネちゃんは・・・」
景太郎「ママ」
コメットさんが話している途中でしたが景太郎パパはそれを遮るようにやや大きな声で言いました。
沙也加ママはちょっと驚きました。
景太郎「ママ、本当にそう思ったのかい?」
景太郎パパがこう聞くと少し間をおいて、
沙也加「・・・うん、そうよ」
沙也加ママが返しました。どこか迷いのあるような・・・そんな口調で返しました。
すると景太郎パパはため息を吐き、こう言いました。
景太郎「・・・嘘つきだね、ママは」
沙也加「う、嘘つき?なにそれ!?」
景太郎パパに突然嘘つきと言われた沙也加ママ、少しイラつき荒っぽい口調で言い返しました。
景太郎パパは全く動じず、
景太郎「今日も客がほとんどこなかったー私には商売の才能がないのかなあー」
景太郎パパは沙也加ママの声色を真似て言いました。
この口調は沙也加ママをさらにイラつかせました。
沙也加「ちょっと!なんのっ・・・!!」
沙也加ママは怒気をふくんだ声で言いました。が、途中ではっとして言葉に詰まりました。
景太郎「思い出したかな?ママこう言ってたんだってね?二人の前で」
沙也加「あれはその・・・」
景太郎「ただの冗談のつもり・・・かい?」
沙也加「・・・・・・」
言おうとしたことを景太郎パパに先に言われてしまい、沙也加ママは言葉を失いました。
景太郎パパは話を続けます。
景太郎「二人ともそれを冗談と思わなかったんだろうね・・・だから本気でママを心配してしまった・・・」
沙也加「・・・・・・」
景太郎「僕はさすがママの子達だなって思ったな、ほっとけないっていうね・・・」
沙也加「え・・・?」
コメット「(あっ・・・)」
この話を聞いたコメットさんの頭には初めて沙也加ママに会った時のことが浮かんでいました。
見ず知らずの、しかもどう見ても外国の人間である自分を偏見もなしに迎え入れてくれたことを・・・。
コメットさんはその時の嬉しさを思い出した衝動で黙っていた口を開きました。
コメット「ママさん!あ、あの・・・この間からツヨシくん達の帰りが遅かったのも・・・ツヨシくんとネネちゃんはママさんにはむずがってだんまりだったけど・・・あれを作るための貝を探してたんですよ
・・・ナイショにしてってことで・・・」
沙也加「え・・・・・・!ひょっとして針を持ち出したのも・・・・・・」
景太郎「わかったかな?」
沙也加「っ!!・・・そんな・・・・・・」
沙也加ママはショックを隠しきれませんでした。自分の子供達が親である自分のためにがんばっていることも知らずに叱り付けていたのですから。
しかも自分のせいでもあることなのに・・・。
コメット「それと・・・・・・パパさん、言っていいですか・・・?」
コメットさんは景太郎パパに何かの許しを請いました。
その請いに対し、景太郎パパは無言でうなずきます。
コメットさんは軽く礼をすると言いました。
コメット「はい・・・・・・ママさん、ツヨシくんとネネちゃんが言ってたんですよ・・・ママさんのこともお店のことも大好きだから・・・潰れたりしたらすごくかなしいって・・・
すこしでもなにか手伝えないかって・・・・・・」
沙也加「・・・!」
コメットさんの声は少し裏返っていました。何かを我慢しているような・・・そんな口調でした。
景太郎パパが頭をかきながらまたため息まじりに意地悪な感じを込めて言いました。
景太郎「はぁあ〜・・・・・・だってさママ?ハハ・・・僕達にはもったいないくらいだね」
沙也加「・・・・・ううっ!!」
すると沙也加ママは顔を手で覆い、両膝を落としました。
どうやら全てを把握したようです。
ツヨシくんとネネちゃんが自分の知らないところで頑張っていたこと・・・それを知らずに叱り付けていたこと・・・
自分のふとした冗談で子供達に余計な心配をかけたこと・・・そしてその心配を勝手な思い込みで突き放してしまったこと・・・
沙也加ママは激しい後悔の念に襲われました。
沙也加「わたし・・・なんてこと・・・あの子達のことを・・・わたしって・・・」
景太郎「子の心親知らずだなんて笑えない話だよ・・・さ、立ってママ、ここで沈んでる場合じゃないだろう?」
コメット「ママさん」
沙也加「うん・・・そうね・・・ごめんなさい・・・」
景太郎「あやまるのはぼくらにじゃないだろ?」
沙也加「うん・・・行ってくるわ」
沙也加ママは立ち上がり、ツヨシくんとネネちゃんの部屋に走っていきました。
景太郎パパとコメットさんはじっと見送りました。
景太郎「ふう・・・・・・それじゃコメットさん、片付け続けようか」
コメット「あ・・・まだ途中でしたね・・・」
さて、ツヨシくんとネネちゃんはというと・・・もう眠ろうとしているところでした。
ツヨシ「さあ、はもみがいたし、ねようネネちゃん」
ネネ「・・・・・・」
ツヨシくんがネネちゃんに話しかけますが反応がありません。
ネネちゃんは床に座り、首飾りを手にとったままボーっとしていました。
ツヨシくんは声を大きくしてもう一度話しかけました。
ツヨシ「ネネちゃん、きいてる?」
ネネ「あ・・・ごめんツヨシくんなに?」
ツヨシ「・・・もうねようっていったんだよ」
ネネ「そ、そうだね」
ツヨシ「いつまでもそんなのもってるなよ」
ネネ「でも・・・」
ネネちゃんはぐずりました。沙也加ママに渡せなかった未練が捨てきれないのでしょう。
するとツヨシくんはネネちゃんに近づき、手に持っていた首飾りをさっととりあげて言いました。
ツヨシ「これはあしたにわにうめよう」
ネネ「え?なんでうめるの?たからものにするんじゃないの?」
ツヨシ「するよ、うちのにわにうめちゃったらだれもとるやついないでしょ?そこにあるのをしってるのはぼくたちだけ
たしかこういうのを・・・『たいむかぶせる』っていうんだよ」
ツヨシくんは首飾りを家の庭に埋めてタイムカプセルにしようと提案しました。意味的にちょっと間違ってますが・・・。
ネネ「『たいむかぶせる』かあ・・・でもせっかくきれいなのに、ここにおいときたいな」
ツヨシ「ネネちゃん、もっときたいの?」
ネネ「うん、ツヨシくんはいや?」
ネネちゃんはツヨシくんの案に気乗りでないようです。そしてツヨシくんに問い返しました。
ツヨシくんは右手に持っている首飾りを見つめながら答えました。
ツヨシ「いやだ・・・だっていらないもの」
ネネ「え・・・いらない?」
ツヨシ「だってママにわたせなかったらいみないもん、みんなのきもちがこもってたっていみないもん!そうだろ!」
ツヨシくんは突然口調を荒くして言いました。
ネネちゃんはびっくりして少し怖がりながら尋ねます。
ネネ「で、でもなんでそれで『たいむかぶせる』なの?」
ツヨシ「・・・めのまえになければわすれられるだろ?ほんとはすてちゃいたいけどたからものにしなさいってママいったし・・・」
ネネ「!すてるって・・・あんながんばってつくったのに!」
ネネちゃんは「捨てる」と言う信じられない言葉を聞き、反射的に攻撃的な口調になりました。
しかしツヨシくんはさらに大きな声で言い返します。
ツヨシ「いみないっていっただろ!・・・あ、そうだ!ママのためにつくったものなのにぼくらのたからものにすることがまずいみないよ!」
ネネ「ええっ!」
ツヨシ「そうだよ・・・これはママのためにつくったんだ・・・でもママはいらないっていった・・・・・・だからこんなもの・・・もういらないんだ!!」
ツヨシくんは叫ぶと同時に右手に持っていた首飾りを床に叩きつけました。
首飾りは床を跳ね、ネネちゃんの手元に転がりました。
そしてツヨシくんは自分の椅子を両手で持ち上げました。
ツヨシくんが何をしようとしているのか、ネネちゃんはすぐに察し、首飾りに覆いかぶさりました。
ネネ「ツヨシくん!!ダメッ!!」
ツヨシ「うるさいっ!!ぶっこわす!!どいて!!」
ネネちゃんがダメと言いますがツヨシくんは聞く耳を持ちません。
それまで我慢していたものを解放したかのように完全に頭に血が昇ってしまっているようです。このまま首飾りをネネちゃんごと破壊しかねない勢いでした。
――――――――――その時です。
障子をバタンッ!!と勢いよく鳴らす音が部屋に響きました。
その音の鳴らし主は・・・。
ツヨシ「!!・・・あ・・・」
ネネ「!!・・・ママ・・・」
沙也加ママでした。
ツヨシくんは頭に昇っていた血が、一瞬でひきました。
そして、持ち上げていた椅子ごと仰向けに倒れてしまいました。
ネネちゃんはすぐさま体制を直し、何も考えないまま反射的に両手の中に首飾りを隠しました。
沙也加「ツヨシ・・・ネネ・・・」
沙也加ママは力のこもったハッキリとした声で二人の名前を呼びました。
ツヨシくんとネネちゃんはその声に恐怖を覚えました。
ツヨシくんは倒れている自分の体をサッと戻し、ネネちゃんのすぐ近くに転がり込みました。
二人の名前を呼ぶと沙也加ママは二人に歩み寄りました。
ツヨシ「わっ、ご、ごめんなさい!おおきなおとたててごめんなさいっ!」
ネネ「こんなおそくにごめんなさいっ!わざとじゃないの!」
ツヨシくんとネネちゃんは大きな声と音を立てたことに対して必死に謝りました。
沙也加ママは聞いているのかいないのか、無反応で二人に歩み寄ります。
そして二人の目の前まで歩み寄ったところで座り込みました。
ツヨシ「(お、お、おしおきされる〜!)」
ネネ「(た、たすけて〜!)」
ツヨシくんとネネちゃんは沙也加ママにおしおきされると思い、おびえています。
しかし沙也加ママは二人の思っていたようなことはせず、二人を優しく抱きしめ、こう言いました。
沙也加「ツヨシ・・・ネネ・・・ごめんなさい・・・」
ツヨシくんとネネちゃんは耳を疑いました。
なんで自分達が謝られたのか、さっぱりわけがわかりませんでした。
沙也加ママは二人を抱きしめたまま、謝り続けました。
沙也加「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
ツヨシ「ママ、ど、どうしたの?なんであやまってるの?」
沙也加「わたし・・・あなたたちの気持ちも知らないで・・・ひどいこと言って・・・」
ネネ「ひどいこと?」
ツヨシくんとネネちゃんは沙也加ママの方を向き、問いました。
沙也加ママはうつむいたまま答えます。
沙也加「せっかく作ってくれたのに・・・勝手に変なこと考えて・・・ツヨシ・・・指痛かったでしょ?・・・ママのせい・・・ごめんね・・・」
ツヨシ「え?はりのこと?あれはかってにもちだしたぼくのせい・・・」
沙也加「違うの・・・ママが全部悪かったの・・・ネネにも・・・あんなに怒ったりして・・・ごめんね・・・ごめん・・・」
ネネ「い、いいよそんなこと・・・(くびかざりつくるのにむちゅうでぜんぜんきいてなかったし)だからもう・・・」
ネネちゃんは沙也加ママを許しの言葉を発そうとした時、ツヨシくんがネネちゃんの手元の方をちょんちょんと指差しました。
ツヨシくんに指差されたネネちゃんの手元には首飾りが握られたままでした。
ネネちゃんはツヨシくんが何を伝えたかったかをすぐに理解しました。そして・・・
ネネ「ママ・・・あやまるだけじゃダメだよ、わたしたちと〜ってもきずついたんだから」
沙也加「うん・・・どうしたら許してくれる?何でも言って・・・」
ネネ「なんでもー?じゃあ・・・・・・はい!」
ネネちゃんは沙也加ママに自分の手に握られていた首飾りを差し出しました。
沙也加「え?これ・・・」
ネネ「うけとって」
ネネちゃんの出した条件とは沙也加ママにとっては全く思いもよらぬことでした。
沙也加「いい・・・の?さっき私・・・」
ツヨシ「いいんだって!それに『マ マ の お み せ』のためだよ、そこだいじなところ」
ツヨシくんがお店のためだということを強調して言いました。
沙也加「・・・ありがとう・・・」
沙也加ママはお礼を言い、ネネちゃんから首飾りを受け取りました。
ネネ「だいじにつかってね」
ツヨシ「こわしたりしないでよ」
ネネ「(えぇ〜よくもまあ・・・)」
沙也加「うん・・・二人とも、本当に・・・ごめんね・・・傷つけるようなことしちゃって・・・」
沙也加ママは許してもらったのにまだ沈んだ感じで謝り続けていました。
ツヨシくんとネネちゃんはそんな沙也加ママを叱咤しました。
ツヨシ「ああもーわかってるって!もうあやまるのはおわり!ママらしくないよ!」
ネネ「そう!ママらしくないよ!げんきだしてよ!」
ツヨシくんとネネちゃんの叱咤の言葉は沙也加ママの心に響きました。
沙也加「!・・・・・・ママらしくない・・・か・・・わかった、もう大丈夫」
するとさっきまで酷い表情だった沙也加ママの顔に笑みがこぼれました。それと同時に大げさな動きで立ち上がりました。
呼応してツヨシくんとネネちゃんの顔にも笑みがこぼれます。
ツヨシ「やったーもとにもどったー!」
ネネ「いつものママだー!」
沙也加「さあ、いつものママに戻ったからには・・・ツヨシ、ネネ、もう寝る時間よ!歯磨きは終わった?」
ツヨシ「はいっおわりました!」
沙也加「よし!じゃあ配置につきなさい!」
ネネ「りょうかい!」
沙也加ママの号令で、ツヨシくんとネネちゃんはそれぞれ自分のベッドに入り、眠る態勢になりました。
沙也加「じゃあ電気消すからね、おやすみなさい」
ツヨシ「おやすみなさーい」
ネネ「おやすみー」
沙也加ママは部屋のスイッチを切り、ゆっくりと襖を閉めました・・・。
少しの間を置いた後・・・ベッドに入ったまま、ネネちゃんがツヨシくんに話しかけました。
ネネ「・・・よかったね、ツヨシくん?こ わ さ な く て」
ツヨシ「う・・・」
ネネ「あのときのツヨシくんこわかったなー、ネネちゃんまでいっしょにこわされるかとおもった!」
ツヨシ「・・・はんせいしてます・・・」
ネネ「ふふ・・・いいよ、いまのネネちゃんはなんでもゆるしちゃうよ」
暴走したことを反省するツヨシくん、ネネちゃんはそんなツヨシくんをあっさり許してくれました。
しかし、ツヨシくんは調子に乗り、こんなことを言い始めました。
ツヨシ「そうなの?じゃあネネちゃんのおえかきちょうをやぶって、かみひこうきにしてたのもゆるしてくれるの?よかったー!」
ネネ「!・・・も、もちろんゆるしちゃうよ・・・」
ネネちゃんの顔がひきつりました。
ツヨシ「それとこのあいだ、おおきなカエルをネネちゃんのつくえのひきだしにいれたのもぼくなんだ、ごめんね?」
ネネ「!!・・・ああ〜あれツヨシくんだったの・・・でもいいよお・・・」
ネネちゃんの顔がさらにひきつりました。
ツヨシ「あと、まえにぼくのおべんとうのピーマンをこっそりネネちゃんのおべんとうにいれたのもぼくなんだ」
ネネ「!!!・・・ほ〜なんかすごくおおかったもんね〜そうだったんだ・・・」
ネネちゃんの顔がすごくひきつりました。
ツヨシ「あーすっきり!ありがとうゆるしてくれて!これでぐっすりだよ、じゃあおやすみー」
ネネ「・・・・・・」
ツヨシくんはこの際とばかりに、あらいざらいのいたずらをネネちゃんに告白しました。
なんでも許すと言ったネネちゃんですが、最後のいたずらを聞いたとき、そのようなことはすっかり頭からふきとんでしまいました。
するとネネちゃんはツヨシくんのいる二段ベッドの二階にあがっていきました。
ツヨシ「あれ?なにネネちゃん?」
ネネ「ツヨシくん、お・や・す・みっ!!」
ツヨシ「お?」
ネネちゃんは自分の机の棚に置いてあった分厚い辞典をツヨシくんに投げつけました。
辞典は見事にツヨシくんの額に直撃。
ツヨシくんはこの一撃ですぐに眠りにつけました。
ネネ「ふーい・・・ちょっとだけどネネちゃんもすっきり・・・」
ネネちゃんは大きく息を吐くとそのままベッドに入り眠りにつきました。
沙也加「(ん・・・?なんか変な音が・・・)」
沙也加ママはまだ二人の部屋の前にいました。ちゃんと二人が眠ったか確認するためです。
ツヨシくんの額に直撃した辞典のヒット音が耳に入り、沙也加ママはほんの少し襖を開けて、部屋をのぞきました。
沙也加「(・・・・・・・・・・・・・・・気のせいか)」
沙也加ママがのぞいたときにはすでにツヨシくんとネネちゃんは眠りについていました。
それを見て、沙也加ママは空耳と割り切り、二人が眠ったことを確認すると、襖を閉めました。
そしてうけとった首飾りを見つめながらお店のどこに置くかを算段しました。
沙也加「(本当にキレイね・・・お店のどこに置こうかな?できることなら売りたくないな・・・でも目立った場所に置きたいし・・・
注目の品っていうのはダメね!・・・うーんどうしよっかな・・・)」
その直後です。
首飾りの巻貝にポタリと透明な滴が落ちました。
沙也加「(あれ?なんだろ・・・)」
滴はさらにポタポタと首飾りに落ちてきました。
沙也加「(なに?もう・・・おかしいな・・・)」
その滴はまぎれもなく、沙也加ママの涙でした。
別のことを考えて気を紛らわしていましたが、こらえきれなかったようです。
沙也加ママは涙を拭いましたが、次々とあふれてきてしまい止めることができませんでした。
そして沙也加ママは部屋の襖に軽く頭を当て、ツヨシくんとネネちゃんに話しかけるように、小さな声で言いました。
沙也加「・・・やっぱりガマン・・・できな・・・みたい・・・・・・
ツヨシ・・・ネネ・・・・・・もう一度だけ言わせて・・・・・・・・・ごめんね・・・
実の子の気持ちもわからないダメなママで・・・・・・ごめんね・・・
・・・こんな私を・・・あなたたちは・・・ママって呼んでくれて・・・・・・
こんな素敵なプレゼントまで・・・・・・パパの言うとおり・・・私なんかにはもったいないわね・・・
・・・でも・・・・・・ありがとう・・・・・・私の子に・・・・・・生まれてきてくれて・・・ありがとう・・・・・・」
それは沙也加ママの二人の子供達へのお詫びと感謝の言葉でした。
沙也加「(面と向かって言えたらな・・・・・・・・・情けない・・・)」
すでに眠っているツヨシくんとネネちゃんには聞こえはしません。
沙也加ママもそんなことはわかっていましたが、今はこれが精一杯。
直接伝えられないことを二人が眠っていることを言い訳にする自分を恥じました。
沙也加「(ツヨシ、ネネ・・・こんな情けないママだけど・・・・・・もう少しだけあなたたちのママで・・・いさせてください・・・
あなたたちを立派に育てて・・・あなたたちにふさわしいママになれるまで・・・)」
一方、景太郎パパとコメットさんは夕食の片づけが終わったところでした。
景太郎「片付け終了!っと」
コメット「終わりましたね・・・・・・パパさん」
景太郎「ん?気になるかい?」
コメット「はい・・・大丈夫でしょうか・・・」
どうやらコメットさんは沙也加ママが心配なようです。
しかし、景太郎パパはそんな様子は微塵もないようです。
景太郎「ははは、心配はいらないよ」
コメット「え?でも・・・」
景太郎「あれだけ反省してたんだから大丈夫だよ、ママこういう時はしっかりしてるからさ」
前にもこんなことあったけど大丈夫だったんだから、ここは夫である僕の言葉を信じてやって、ね?」
コメット「・・・・・・はい!」
景太郎パパの妙に説得力のある言葉にコメットさんはあっさりと納得しました。
コメット「(夫である・・・かぁ・・・カッコいいなぁ・・・)」
次の日・・・
コメットさんは朝の日課を済ませたら、いつもどおりお店の手伝いに来ました。
コメット「おはようございまーす」
開店したばかりの店内、まだお客さんはいませんでした。
しかしなぜか沙也加ママの姿もありません。
コメット「あれ?ママさんどこだろ・・・?朝いつもどおり起きてもいなかったし・・・」
すると二階のほうから突然大きな声が聞こえてきました。
「おはようコメットさん!」
その声は沙也加ママのものでした。コメットさんは驚きました。
コメット「わっ!・・・びっくりしました・・・ママさん二階にいたんですか・・・」
沙也加「ごめん!ちょっと二階来てくれるー?見せたいものがあるの!」
コメット「あ、はーい!」
今日の沙也加ママはやけにテンションが高い様子。
沙也加ママはコメットさんを手招きして二階に呼びました。
コメット「ママさんどうしたんです?朝起きたらもういませんでしたけど・・・」
沙也加「ごめんね、ちょっと準備があって・・・」
コメット「準備・・・ですか?」
沙也加「そう、あれよ!」
沙也加ママは二階のギャラリーコーナーを指差しました。
コメット「うわあ・・・」
コメットさんはそれを見て思わず絶句しました。
沙也加ママが指を指した方にあったのは、あの巻貝の首飾りの入ったケースでした。
しかし、そのデザインは普通ではありません。
小さめのプラスチックの四角いケースの中に砂が敷かれ、細かい貝が散りばめられ、中心に人口の岩が立っており、その岩に首飾りがかけられています。
コメットさんはそのケースに歩み寄り、近くでじっくりと観ました。
沙也加ママも歩み寄ります。
コメット「す、すごいですねこれ・・・」
沙也加「ふふふ・・・いい反応ねコメットさん、これならお客さんも見てくれるわ、雰囲気出てるでしょ?タイトルは「海のおみやげ」って感じかな」
コメット「こんなのいつ作ってたんですか?」
沙也加「んー昨日作り始めてさっきできた・・・って言えばいいかな?」
コメット「え?・・・それって・・・徹夜じゃないですか!?」
なんと沙也加ママは首飾りを受け取った後、一晩でこのケースを完成させたのです。
沙也加「なかなか納得いくものができなくてね・・・こんな時間になっちゃったの」
コメット「だ、大丈夫なんですか?お体の方は・・・それに手もそんな・・・」
沙也加「あーこれ?ちょっと使ったことのないもの使ったりしたからね・・・でも平気、あの子たちの苦労と比べれば、なんでもないわ」
沙也加ママは顔色一つ変えず、気丈な答えを返しました。
しかしその両手には痛々しいテーピングが施されていました。
コメット「・・・ツヨシくんとネネちゃんが見たらきっと喜ぶと思いますよ」
沙也加「そ、そうかな・・・」
コメット「そうですよ!ママさんこんなにがんばったんですから!それにすごくキレイですし!」
沙也加「あ・・・ははは・・・ありがと・・・」
自分の力作を褒められ、沙也加ママは照れ笑いを浮かべました。
その表情はなにかをやり遂げたという達成感にみちあふれたものでした。
沙也加「さてと、そろそろお店自体の準備をしなくちゃね、実はこれの準備しかしてなくてあと全部ほったらかしなのよ〜」
コメット「あちゃー、それは大変ですね」
沙也加「コメットさん、手伝ってくれる?」
コメット「もちろんです!そのために来たんですから!」
沙也加「よし!それじゃやりますか!」
コメット「はい!」
沙也加ママは徹夜明けにも関わらず、すぐさま店の準備に取り掛かりました。
コメットさんは沙也加ママの指示についていくだけでいっぱいいっぱいです。
コメット「(元気だなあ・・・ママさん・・・・・・心配なんて必要なかったね、さすがパパさん・・・
仲直りできてよかった!・・・・・・でも私もツヨシくんやネネちゃんと同じ立場になったら・・・どうかなあ・・・仲直りできるかなあ・・・)」
コメットさんは改めて夫婦、親子の絆の強さに感心しました。
それと同時に自分ならどうか・・・という不安にかられました。
でも今はそんな場合ではありません。沙也加ママの檄が飛びます。
沙也加「コメットさーん!動き止まってるよー!」
コメット「あ、すいませーん!」
客1「おはようございまーす」
沙也加「うわっ、もうお客さん来ちゃった!コメットさーんおねがーい!」
コメット「はーい!(まあ、その時はその時!)」
客2・3「あのー開いてますか?」
コメット「は、はい!どうぞこちらに!」
沙也加「(もうお客さんが3人もー!よりによってっ!)」
なぜかその日、いつもより少しだけ忙しかったHON NO KIMOCHI YA。
この首飾りのおかげなのか、ただの偶然か・・・・・・それは誰にもわかりません。
おわり
「わー、この首飾りきれいね」
「この飾り方も手ぇ込んでるな」
「あ、売り物じゃないの?残念・・・」
製作期間・・・三週間
「冒頭に目的を書かない」というやり方でやってみましたが・・・それって読んでる側としてどうなんでしょう?
つい欲が出て、どうでもいい部分が多くなってしまいました。
でも結局消さずです。消してうまくまとめる気力が・・・今その気力がないです。
名前「セリフ」方式は・・・完全に妥協してます。
あとナレーションは自分でも恥ずかしい有様・・・お許しを。
戻る
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||